hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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師匠

生きて幸せに

午後1時。 師匠はやってきた。 彼女と会うのは今日で最後だと思うと、僕は朝から寂しい気分でいっぱいだった。 「……暗い。テンション低すぎだぞ、お前」 ――すみません。クロもいなくなっちゃたし、師匠だって……。 「最後ぐらい、明るく別れよう、な?」 そ…

お前はお前だ

午後1時。 師匠はやって来た。 来たけれど、先週の事もあってか、僕たちの間には気不味さしかなかった。 僕は師匠に何も話す事ができなかった。 黙って時間が経つのを祈りつつ、いま師匠と話さずにいたら後悔するという焦りもあった。 自分でもどうしていい…

おとな

午後1時。 師匠は雨の中、ピンク色の傘をさしてやってきた。 元気が無かった。 僕も、師匠も。 たぶん、不安だったからだと思う。 「よし、乗せろ」 ーーはい。 先週の約束通り、クロの体重を計ることになった。 この家には体重計が無かったので、今日師匠…

リミット

午後1時、師匠はお土産を手にやってきた。 有名チェーン店のドーナツ。 師匠はドーナツを広げ、僕はコーヒーを淹れた。 ――バイト、落ちました。 「何だ、あんまり残念そうじゃないな」 一発で見抜かれる。 そうだ、本音を言うと僕は怖かった。 アルバイトに…

違い

午後1時。 師匠がやってきた。 玄関で迎え入れる時に気づいてもらえた。 「髪、染めたんだな」 「どうした、色気づいたのか?好きな女でもできたのか?」 ――僕はまだ…… あなたの事を、と言いかけた。 「ああ、もういい。黙ってくれ。……ごめんなさい。本当に…

そのままの

午後1時。 師匠はやってきた。 なんだか落ち着かない様子だった。 師匠はここへ来るなり急いでレポートを書き始めた。 一言も話さない。 僕が淹れたコーヒーを一口も飲まない。目も合わさない。僕が話しかけても、「おう」とか「ああ」しか言わない。 会話…

言い訳と現実

朝、母から電話がかかってきた。 内職を手伝ってほしい、と。 ここのところ母の内職は忙しい。僕も2日前から手伝っている。今日も引き受けたのだが、寝起きでテンションが低いのでちょっと僕はイラついていた。 つい「めんどくせえな」みたいに言ってしまっ…

バレバレ

午後1時。 いつも通り師匠はやってきた。 白の長そでワンピースに黒のタイツ、ペタンコ靴というシンプルなファッションだった。 師匠がレポートを書き終わったことを確認してから、この一週間でやった実験を報告した。 成功も失敗も包み隠さず。 「もう、大…

役割

午後1時。 師匠はやってきた。 カーキのモッズコートに、ピンクのリボンという甘辛コーデだった。 「お~、ブサイク!元気だったか!?」 「ニャー!」 両手を出す師匠。飛びつくクロ。 すごくなついてる。僕以上かもしれない。 「ははは。くすぐったいわ」…

大丈夫

失恋については吹っ切れた。 僕はもう大丈夫だ。 午後1時。玄関のチャイムが鳴った。 僕は軽い足取りで玄関へ。 笑顔で師匠を迎えよう。ドアを開ける。 ――こんにちは! 「……おう」 ものすごくテンションの低い師匠が立っていた。 ここのところエロい、いや…

バトミントン

朝から落ち着かなかった。 裁判の結果を待つ被告の気持ち。 師匠は来てくれるのか、と。 午後1時、いつもなら来る時間。 来ない。 ああ、やっぱり、とぐったりしていたら玄関のチャイムが鳴った。 師匠は来た。けっこう大きなバッグを持って。 ――もう来ない…

なみだ

泣けてくる。 師匠にふられたからだと思う。 ふられることを前提に告白した。 理屈では完璧に受け入れていた、はずだった。 感情が理屈に従ってくれない。 心のどこかで、受け入れられることを期待してしまっていた。 甘かった。 こんなに苦しいのなら、告白…

告白

……告白するぞ。 僕は朝から緊張していた。 朝のニュースの占いを気にしていたが、恋愛とは全然関係ない内容だった。 クロを抱き上げて、僕頑張るよ、と言ってみる。 ブッ! あいつは屁で応えた。なんて奴だ。 午前中、ずっと師匠の事を考えていた。 出会った…

ビビってます

どうしよう。 先週、師匠に宣言してしまった。 好きな人に告白する、と。 師匠は僕の気持ちには全く気づいていない。 勇気がない。 「諦めれば傷つかずにすむよ?」 「もう頑張ったじゃないか?」 「何その気になってんの?」 もう1人の僕がガンガン言い訳…

ロマンチック

告白する、と宣言してしまった。 今更になって、 うわぁ、どうしよう、マジでやばい、どうしようどうしよう、って頭を抱えてる。 部屋の中にいても堂々巡りだったので、スーパーへ行ってきた。 いろんな人や物をぼんやり眺めた。 老夫婦、ちびっ子、生肉。 …

宣言

午後1時。 こたつに入ってクロとポテトチップ(のりしお味)を食べていたら。師匠がやってきた。 ミニスカートだった。 目のやり場に困る。 午前中、恋愛小説を読んで胸を熱くしていた事を師匠に伝えた。 「独身男の悲しい日常だな」 ――余計なお世話です(…

あたりまえ

今日は何事もなくクロと遊んでいた。 平和だ。 散歩にも行った。 すれ違う人とあいさつをする。 だいぶ緊張しなくなってきた。 いい事だと思う。けど、 ちょっとさみしい。 それまでドキドキしながら一生懸命やっていた事に慣れて、「あたりまえ」になってい…

迷い

迷っている。 師匠に告白するかどうかを。 振られる事はわかっている。 好きな人がいるし、僕は弟子だし。 どうして僕は気持ちを伝えたいのか? 伝えてどうなる? 自分の中で気持ちを抑えて1人で苦しんでいればいいじゃないか。 今までずっとそうだったし。…

熱が出て

体調が悪い。 熱が出てる。 昨日の夜は39.4度だった。 今朝はかると37.5度。 しんどい。 病院に行った。 医者の人は、「たぶんインフルエンザ」と言っていた。 「たぶん」ってなんだよ……。と思ったが、 インフルエンザを治す路線で治療を進めると言…

マニアック

午後1時。 師匠がやってきた。 上機嫌だった。 ここに来る前に「アイハラ君」と会っていたらしい。 何か笑顔が弾けてるし、いつもよりやさしい。 うれしかった。でも、 くやしくもあった。 1週間の報告をする。 「頑張っているな、それで……」 ――? 「いい…

切り替え

昨日の夜も眠れなかった。 目を閉じるとあの人の姿が浮かぶ。 くるしい。もだえる。のたうちまわる。 恋をしている人は皆こうなってしまうものなのだろうか? 午後1時。師匠はやってきた。 僕は今週やったこと――レシートをもらったこと、おでんを買ったこと…

すきなひと

午後1時。 師匠はいつも通りやってきた。 先週あんな事になったので、僕はどういう挙動をとればいいのか、わからなかった。 緊張。 でも師匠は全く気にしてないそぶりで言った。 「何だそわそわして。クソでもしたいのか?」 クソとか言ってほしくなかった…

最低

午後1時。 師匠がやってきた。 ――こんにちわ。 「……おう」 声に力がない。 どことなく元気のない師匠を見て、僕はいいようのない不安を覚えた。 ――あけましておめでとうございます。 「別にめでたいなんて思わんわ」と言って師匠は力なく笑った。 僕は自分…

なみだ

ボーっとしていた。 なにも考えたくなかった。 とくに昨日の事は。 午後1時。師匠がやってきた。 「どうした?」 僕がひどい顔をしていたのだろう。 師匠は怪訝な顔をしていた。 「怪我をしたのか?」 気付かれた。昨日石をぶつけられてできた傷に。 ちょっ…

さみしさ指数、上昇中

午後1時ちょっと過ぎ。 玄関を開けるなり、師匠は僕を見て「ほう」と一言もらした。 「少しはましな見てくれになったな」 その言葉だけで、すべてが報われた気がした。 勇気を出してよかった。 イヤーマフを外して、こたつでくつろぎだした師匠に温かいコー…

決意

水道水が冷たい。 手が冷えて、皿洗いがきつい。 かと言ってお湯を使うとガス代がかかるし、手の油分が奪われてカサカサになる。 ならばいったい僕はどうしたいのだろう? これからどんな人生を送りたいのだろう?と考えていたら午後1時。 師匠はやってきた…

わかってくれた

僕は昨日の暗い気分を引きずったまま、午前中を過ごした。 クロは能天気にひなたぼっこ。 あいつは僕の不安に気付いているだろうか? 親としては落ち込んだ姿なんて見せられない。 親が揺れていると、子供は不安になる。 信じていたものが壊れた時の痛みを思…

フルスマイル

午後1時、玄関を開けると。 「こんにちわぁ♡」 師匠が僕にあいさつしてきた。笑顔だ。フルスマイルだ。 僕は動きが止まった。 「あ」 急にきまりの悪そうな顔になった。視線をそらして師匠は言う。 「間違えた。今のナシ!何でもない。忘れろ!」 ――え? 「…

ああ、かなわない

午後1時を回って、雨が降り出したころに玄関のチャイムが鳴った。 ドアを開けると、そこにいたのは白のワンピースに、カーキ色のモッズコートをまとった師匠だった。 なんか白が眩しいし、コートの袖口はもこもこしてるし、黒いタイツに包まれた脚は超細い…

エコ、怒られる、反省。

午後1時。 師匠は僕に断って、この部屋で昼食を食べていった。 コンビニ食。 おにぎりを両手で持って、ちょぼちょぼ食べる師匠を見て、僕の胸はキュンとした。 その視線に気づいた師匠は、何だ?と僕をにらんだ。 ――すみません。何でもないです。 僕は小さ…