腐った、ハエの
昨日から、ずっと「バイト」のことを考えていた。
考えすぎて調子を崩す。
神経が過敏になる。
微かな音、光、早くなる心音に自分の全存在が脅かされる感覚。
目を開くと、視界にあるピンクとグレーが僕を圧倒してくる。
誰かが言う。
「お前はもう手遅れだ」
「何をやっても無駄」
「かわいそう(笑)」
どこかで聞いた言葉。聞きたくなかった言葉。脳裏によみがえり、ぐるぐる回る。
呼吸が不安定。
止まったら死ぬ。
ヒルナミンに助けを求めるが、吐き気がしてくる。吐き出したら、助けてもらえない。必死で吐き気をこらえる。
うずくまったまま、時計の音に呼吸を合わせる。止まらないように、吐かないように。
4秒吸って、8秒吐く。
このリズムを徹底して守る。
頑張れ僕。
40分ぐらいして、助かる。戻ってこれた。
テレビをつける。
目がきらきらした人たちが映る。
ふと鏡で自分の目を見ると、
腐った魚に、ハエがたかったような眼をしていた。
今度は調子ではなく、気分が悪くなる。
ちくしょう。