足踏み
僕はコーヒーが好きだ。
刺激が強いから間食したくなった時に飲むことで、ごまかしがきく。
痩せ効果もあるらしい。
安いものもたくさんある。
僕は近所のコンビニで売っている、1本120円くらいで900mlのやつばかり飲んでいる。
ブラック。
それで、今朝。
コーヒーのストックが無くなったので、コンビニへ向かった。
薄曇りの天気で、暑くもなく、寒くもなく、丁度いい気温。
道端にカブトムシの幼虫みたいなのが転がっていたのはびっくりした。
道路の反対側を見ると、ピンクとか黄色とか様々な色の花が咲いていて、田舎である事を実感する。
畑仕事をしているおじいちゃんがいたので、挨拶をした。
聞こえなかったのか、無視されたのかわからないけど、返事はもらえない。
まあ、いいや。と思っていたらコンビニに着いた。
なぜか今日は弱気だったので、入ってすぐ本のコーナーへ逃げた。
立ち読みする。
女の子のネイル専門雑誌とかがあった。
パラパラめくると、カタログみたいにつけ爪の写真がたくさん載ってた。
面白そうだけどこういうの付けてたら、米とぎする時とか大変そうだな、と思った。
もうひとつ印象に残っているのは、腹筋雑誌だ。
「トレーニングして腹筋割ろうぜ!」という趣旨の雑誌。
欲しいと思ったが、立ち読みしてトレーニングメニューだけ覚えるだけにとどめた。
コーヒーのボトル2本と、納豆、豆腐を持ってレジへ。
そのとき、店の電話が鳴った。
僕は急いでなかったので、店員さんに「僕の事はほっといて先に電話にでてもいいですよ」と伝えた。
すると「それはできない決まりなんです」と教えてくれた。
店員さんの話によると、電話をかけてくる業者さんも、お客さんがいる時は電話に出られない事はわかっているらしい。
なので店員さんは電話をスルーした。
僕は「余計なこと言ってすみません」と謝りつつ、ちょっと勉強になった、と思った。
会計を済ませて店を出る時、「アルバイト募集」の張り紙が目に入った。
僕は少し立ち止まった。
アルバイトを探してはいるものの、接客はどうしても怖かった。
しかも、今日見た「接客をしてる途中に電話が鳴る」みたいな状況になったら、パニックになってしまう自信がある。
どうしても勇気が出ない。
かと言って、身近に接客以外のバイトが見つからない。
逃げている。でも、正直に言うと、
もうちょっとこのままでいたい。
……それも駄目な気がする。
かと言って次の一歩を踏み出せない。
足踏み状態だ。
それでは、また。