適当
昨日の夜、部屋を抜け出し頑張って自動販売機まで出掛けてきた。
いつまでもくよくよしていられない、と思ったからだ。
ペットボトルのお茶を手に、帰り道コンビニの前を通る。
ギラギラ光っていた。数人の人がいた。
まだ、あそこには行けそうにない。敷居が高い。店に入った途端に店員のあいさつ、見られる、防犯用の監視カメラに映る。
恐ろしすぎる。だけどいつか決着をつけてやる。
部屋に戻ってテーブルの上をふと見ると、ダイレクトメール。
昼間ポストに入っていたやつだ。
「あなたは選ばれました!」
どうせ何かの詐欺だろう。
面白半分に開けてみた。
「里親募集中。あなたは選ばれました!ドラゴンを育ててみませんか!」
……何をしたいんだ?お金を取るならもっとましな嘘をついてきそうなものだけれど。
しかし、いたずらとしては面白い。暇つぶしとしてなら十分楽しめる気がした。
「ドラゴンはあなたを待っている!」
「一年間の里親になろう!」
「引きこもりでも大丈夫!」
ドラゴンなんていないだろ。
里親ってなんだ。
「引きこもりでも」ってどんな層を狙ってるんだよ。
応募用紙が付いている。書き込む項目がいくつかある。
年齢。性別。職業。動物を飼った経験の有無。ドラゴンを愛しているか等。
連絡先が書いていない。東京行の封筒が封入されている。
まあいいや。送ってみよう。暇だし。
適当に書いて寝た。
さっきポストに入れてきた。人には会わなかった。誰にも会いたくない半面ずっと部屋にこもっているから、人の姿をみるとほっとするのも事実だ。でも、やっぱり人は怖い。
それでは、また。