直売所
カップラーメンばかりでは体に悪い。
外に出よう。
近所に農協の直売所がある。
野菜を買いに行く。
ドキドキする。日差しが強い。すぐに汗が噴き出た。
対向する車の視線を勝手に感じる。うつむいて前進。くじけるな、僕。
ラーメン屋の前を通り過ぎ、横断歩道を一つ越えればそこに農協がある。
店番のおばさんが二人。視線を合わせず店内にすべりこんだ。
いろんな野菜が並んでいる。たまねぎ、にんじん、ピーマン、ししとう、かぼちゃ、なす、トウモロコシなんかが所狭しと並んでいる。
スイカもあった。ひと玉1000円。季節を感じる。
基本的に割安だと思う。
たまねぎ四玉100円。
にんじん四本100円。
米5キロ1800円。
卵1パック220円。
以上を手にレジへ。
店員がチラッと僕を見る。汚いもののように見ている、と感じるのはただの被害妄想であってほしい。
何とか帰宅する。
神経の高ぶりが治まるのを待ってから、料理を始めた。
チャーハンだ。
先ほどの食材に、備蓄していたベーコンを使う。
米はあらかじめ炊いておいた。たまねぎ、にんじんをみじん切り。
溶き卵を熱したフライパンへ流し込み、炒める。続いて野菜、ベーコンを投入、火が通ってからご飯も追加。できるだけ均等に炒めて、塩コショウで味付けして完成。
中学三年のころ、母が入院、姉が嫁いでいったので一人暮らしをしていた。その時、姉に伝授されたのがチャーハンのつくり方だった。
熱々のチャーハンを口の中へと運んだ。
その味に当時の事が頭を駆け巡った。
あの時の自分はまだ人におびえていなかった。
なんでこうなった?
暗い気分になる。
だけど、僕は今日小さな一歩を踏み出した、そう言い聞かせながらチャーハンを飲み込んだ。
それでは、また。