hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

【送料無料】僕のひきこもりナンパ宣言...

【送料無料】僕のひきこもりナンパ宣言...
価格:1,365円(税込、送料込)

凶器の女子に弟子入り

今日も、来た。

調査員のあの子。凶器は持っていない模様。

いつも通り、デジカメで卵を撮っていた。

前回同様、土足。

気に入らない。

あの、靴脱いでもらえないですか?

「話しかけるな、クズ!」

怒られた。クズ?

何でそんなに見下すんですか!

思わず叫んでいた。悔しかった。

彼女は少し驚いた顔をしたが、すぐ無表情になっていった。

「お前引きこもりだろう?私は現実から逃げてるやつなんか尊重しないんだ」

言葉に詰まる。何も言い返せない。自分が情けなくて、悔しい。

一昨日から思っていた事が頭をよぎる。

このままずっと引きこもって怯えながら一生を過ごすのか?

そもそも、「このまま」でいられない。時の流れが許してくれない。

うつむく僕に彼女は追い打ちをかけてくる。

「現実と戦わないやつに未来はない。私はそんな奴とは関わりたくない」

はっきり否定された。全否定だ。こっちの気持ちなんて全然考えてくれない。

でも、世間とはそういう物なのだということは何となくわかってはいた。

見ないふりをしていただけだ。

だけど、一つ思いついた。僕は賭けに出る。

思い切って言った。

 現実と戦う方法を教えてください!アドバイスをください!

「はあ?何で私が?そんな事やっても私に何のメリットもないだろう?」

十万!このバイトの成功報酬十万全部あげますから!お願いします!

「……」

十万が効いたのか複雑な顔をしている。

お願いします!師匠!

「し、師匠?」

彼女は面食らった顔をしたかと思うと急にニヤけた。「師匠」が効いたのか?

僕はもうやけくそだった。

今までこれほどストレートに本音をぶつけてくれる人もいなかった。

おそらくこれからも引きこもっていたら、出会いすらないだろう。

だから賭けようと思った。

この子の意見には嘘がない。だから、僕を変える力がある。そう思った。

彼女は無言で僕を睨んでくる。僕はドキドキしながらその視線を受け止めた。ここで引いたらあとはない、そんな気がしたからだ。でも怖かった。

「……十万、か。いいだろう。絶対によこせよ。それに力になれる自信はある。私も二年間引きこもっていたからな」

引きこもっていた?

電話が鳴る。

「あっ、うん。わたし~。うん、そうそう。すぐ行く~。待っててね~」

かわいらしい声と、表情で電話を終えると、師匠はすぐ仏頂面になって口を開いた。

「時間がない。次の約束がある。来週も来るからそれまでにお前自身がどうなりたいか、考えとけ」

デジカメをしまうと、師匠はそそくさと出ていく。僕が開けっぱなしのドアを閉めようと玄関に向かうと、師匠が戻って来て言った。

「それから、部屋の掃除しとけ!臭い!汚い!不快だ!わかったか!」

臭い?汚い?不快?

そんな風に思っていたのか。ちょっとショック。

僕は力なく、はい、わかりました、と答えた。