hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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思い出した

一日一回五分、外に出る。

師匠との約束、継続中。

昼間の野外には人があまりいない。

この法則を信じ切っていた僕は、ミスを犯す。

部屋を出て数分、誰にも会わなかった。

調子に乗った僕は、少し車の交通量の多い道を歩くことにした。

信号を渡って、ラーメン屋の前を通り過ぎ、自動販売機の前を過ぎたところで部屋を出て15分が経過した。

よし、帰ろう。引き返す。ところが、

ラーメン屋の前に再び接近すると、車がたくさん停まっていた。

人がいる。たくさん、いる。

昼食時だった。

途端に心臓がバクバクする。

大丈夫だ、落ち着いて通り過ぎればいい。

うつむいて歩き続ける。信号のボタンを押して、下を向く。

大丈夫だ、何ともない、このままいける、だれにも見つかるな。

が、

笑い声。スーツを着た若い男女がこっちを見ている。

 

――何あれ。キモい。うわ。こっち見た。変なの。ちょっと!聞こえるって(笑)。別にいいじゃん、あんな奴に気ぃ使う必要ないし。――

 

信号が変わる。ダッシュで渡る。

 

――走ってくる!こっちくんな!うわ、キモ!逃げろ!(笑)キャー!(笑)――

 

もう、限界だった。

気付くと、部屋に着いていた。

薬を飲んで目を塞ぎ、横になる。

泣きたい気分だった。

別に人の目なんて気にしなければいい、はずだ。

だけど、どうしても思い出してしまう。まだ、高校に通っていた時のことを。

友達だと思っていた奴が、嬉しそうに僕を見下すあの目を。

秘密が筒抜けになっていた教室を。

「終わった」事を思い知らせるあのせせら笑いを。

 

貧乏ゆすりが止まらない。心臓がドクドク脈打つ。呼吸が荒くなっていく。

その一方で、どこか冷静に、これはまずいなと自分を見る自分を感じていた。

見ている僕と、見られる僕。

どっちが本体なんだろう?

そんな事を思っているうちにも、世界は僕を侵食していく。

しんどい。

だめだ。

命を断ったら楽になれるのかな?

何度かそう思ったことがある。今までぎりぎりすり抜けてきた、誘惑のような問いだ。

ぺろり。

手の甲に何かぬめったものが触れた。

クロだった。「ニャー」。不細工な顔が目の前にある。

吹き出した。

ごめん、お前のこと忘れてたよ。

ありがとう、と呟き時計を睨んだ。30分ほど呼吸を整え続けることで乗りきった。

今、扇風機にべったりすり付いている家族を見て、僕は微笑んでいる。

それでは、また。