なぜ、わかるのか?
折り紙を買いにサトウ商店へ行った。
課題をこなすためには折り紙が必要だからだ。
店内に入ると、トゥルルル、ルルルルという懐かしい電子音。
床はごつごつしたコンクリート(石?)でできていて、駄菓子屋のような独特のにおいがした。
コンビニのような監視カメラはないし、店員は優しそうなおじいさん店主しかいないので、ヒソヒソ話をされることもない。
つまり、安心して買い物ができるということだ。
50枚入りの折り紙を2パック確保し、10円や20円のガム、120円のグミや、1本30円のサラミもついでに5本買っておいた。
会計を済ませると、おじいさん店主が話しかけてきてくれた。
口調はゆっくりで、話しかたは穏やかだが、その視線はどこか鋭いような気がした。
気のせいか?
「あんた、最近よく来るけどこの辺の人かね?」
――はい。
「仕事は?」
――今、ちょっと体調崩してて。その、何も……。
という具合にいろいろ聞かれた。
すこし、疲れた。
ちなみにおじいさんは、腰痛がひどく、膝も「やっちまった」らしい。
「グルコサミン」というサプリメントが効く、あんたも気をつけなさいよ、とのこと。
最後に言われた。
「早く彼女つくりなさいよ」
なぜ彼女がいないと気付かれたのだろう?僕はそういうことは話していなかったはずだ。
……たぶん、見た目だな。
ああ!ちくしょう!
そういえば、前にもこんな事があったような……。
僕は何も考えないことにして、店を出た。
それでは、また。