誰かの声
残り50枚。
今日も折り紙を折った。
最初はいい。
15枚ぐらいまでは集中がどんどん高まっていくだけだ。
20枚目ぐらいで貧乏ゆすり、というか足が震えてくる。
30枚を折ったあたりで、もう神経がまいってくる。
天井やトイレの壁に着いている黒い点が、人の目のように感じられてくる。
こわい。
何かに責められているような気がしてくる。
「働きもせずに折り紙?馬鹿じゃないのか」とか、
「どうせ何をやっても無駄だ」とか、
「お前の人生、もう終わってる」だの、誰かわからないがそういう事を言われているように感じる。
いつか聞いた誰かの言葉と自分の被害妄想が折り重なって僕を責め立てる。
でも、僕はあきらめない。
あきらめないと決めたんだ。
師匠の顔が頭に浮かんだ。
あの子との約束が、折れそうな僕の心をつなぎとめてくれている。
何よりも、自分のために頑張るんだ。
今日は35枚折った。残り15枚。
それでは、また。