終わりがない
――どうだ、うまいか?
クロはもりもり肉を食べる。
豚肉。「おつとめ品」。三割引き。
歯がしっかり生えそろったので、生肉も問題なく引きちぎっていた。
よかった。実はここのところクロが若干痩せたような気がしていたから、どうにも落ち着かなかったのだ。
しかし、これからずっとスーパーに肉を買いに行くことになるのか……。
正直、僕は怖気づいていた。
行っても、買っても、「次」がある。
終わりのない戦い。
逃げ出したい気分だ。
働いたり学校へ通ったりしている人は、嫌になったりしないのだろうか?
自分も学生をやっていたこともあったが、もう忘れた。
ほとんど休んでばかりだったし。
師匠の言う「現実と戦う」とはこういう事を意味していたのだろう。
クロが寝ている。
うつぶせで手足を四方にだら~んと広げている。
虎のじゅうたんみたいだ。
いまはこいつのために頑張ろう。
それでは、また。