hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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納豆巻きと大トロ

今日は、スーパーに攻め入った。

クロに与える生肉を手に入れるためだ。

店員のおばさまたちに嘲笑われるのも、慣れてきた。

ヒルナミンは予防として飲んでおいた。

それでも笑われると、心が傷つく。

しかし。

今の僕には守るべきものがある。

負けるものか。

 

場馴れしてきた僕は、寿司の惣菜コーナーに立ち寄る余裕ができていた。

何を買うかはあらかじめ決まっていた。

納豆巻きだ。

僕は小さいころから食べ物の好き嫌いが激しかった。

魚は鮭ぐらいしか食べられない。

だから寿司は納豆巻きしか食べられない。

しかし、ひとつだけ例外がある。魚だけど食べられるもの。それは、

大トロだ。

 

僕がまだ少年だった頃、親戚のおじさんに寿司屋に連れて行ってもらった事がある。

その時、大トロを勧められた。

魚は駄目だよ、と思いつつ渋々口に運んだ。すると、

柔らかい身が、口の中で溶けていく。濃厚で快感にすら思える旨みが広がる。脂っぽいけどしつこくない。

肉じゃん、これ!うまいよ!もう一枚!と僕が言うと、おじさんは、しょうがねえなあ、ともう一皿食べさせてくれた。

あのおじさんは結構前に亡くなった。いいおっさんだった。

大トロを思う時、いつもあのおじさんの事が頭に浮かぶ。

 

僕には、甥っ子がいる。

つまり、今は僕がおじさんになったという事だ。

いつか僕も甥っ子に大トロを食べさせてやりたいと考えている。

そして甥っ子もまた、誰かに大トロを食べさせる。

つながって、続いて行く。

そうやって、人が生きた痕跡は世界に続いて行く……。

そんな事を思いながら、納豆巻きとスーパーの惣菜コロッケを夕食として食べた。

それでは、また。