入院してた
今日は2週間に1回の通院日だった。
順番待ちが、いつもより長い。
診察室の前に入院病棟の看護師さん2名が待機していた。
扉が開く。
中から弱りきったような顔をした若者と、両親と思われる夫婦が出てくる。
何かをわめいていた。
入院の話がこじれたのだろう。
僕もそうだった。
入院した回数は10回に満たないぐらい。
3つの病院で入院した。
その中でいちばん最初に入院した都会の病院は最高だった。
入院していて何が最高だ、という気もするが、あそこは本当に心が安らいだ。
入院期間は2週間。
病棟のスタッフが親切で、僕の相談にも親身に対応してくれた。
病棟自体も清潔で、何かいい匂いがする。
そのうえ料理もおいしく、魚嫌いの僕でさえ魚を残さずたいらげていた程だ。
同じ病棟の入院患者も比較的ライトな人たちで、ほとんど会話が成立していた。
毎日オセロをしたり、ラジオ体操をおどったり、おやつの交換、マンガの貸し借りなんかもしてた。
あそこだったらもう1度入院してもいい気もする。
いま思うと、ただのラッキーだっただけだが。
精神病院の入院病棟は、環境の落差が激しい。のちに僕は違う病院でひどい目に遭い、いまだにその後遺症みたいなものに脅かされている。
油断していた。
やっぱり入院はもうしたくない。
あのころに比べると自分は今すごく幸せだと思っている。
閉じ込められてないし、力になってくれる人までいる。
これからも生きている事を素晴らしいと思い続けていたい。
ありがとう。
気付くと、
自分でもよくわからないまま、
何かに対してひとりごとを呟いていた。
それでは、また。