hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

【送料無料】僕のひきこもりナンパ宣言...

【送料無料】僕のひきこもりナンパ宣言...
価格:1,365円(税込、送料込)

美容室

数日前、美容室へ予約の電話を入れていた。

その約束の日が今日だった。午前9時から。

朝から緊張だ。

ドキドキしていた。

笑われたらどうしよう。気持ち悪いと思われたら辛いな。

美容室なんておしゃれスポット、完全にアウェーだ。

逃げ出したかった。

 

ヒルナミンを1錠、予防に飲んでから部屋を出た。

自転車で駅前まで走る。20分ぐらい。

遅刻はしたくない。

全力疾走。息が切れる。膝が痛い。でも立ちこぎはやめない。

早くいかなきゃと思いつつ、このままたどり着かなけりゃいいのに、という気持ちもあった。

 

駅前。

黄色い看板の床屋の、3軒となり。

ヘアースタジオ「イベントホライズン」。

そんなに大きくない店で、美容室らしくガラス張りではあるものの、うすぐらい照明のせいか外から内部が丸見えというわけでもない。

それがよかった。

 

さっさとケリをつけよう。

半ばやけになりながら、僕は店の扉を突破した。

おっさんが一人現れた。

背が高くて、がっちりとした体形。店内に暖房がかかっているせいか、ロングTシャツ1枚にジーンズという軽装だった。

何でそう感じるのか説明はできないのだけど、おしゃれなオーラみたいなものを感じた。

「○○ ○○(僕)さんですか?」

電話で喋った人だと声で分かった。

初めてですね、と言われてクリップボートにボールペン、1枚の紙をわたされた。

僕はよくわからないまま、色々記入した。

生年月日、電話番号、髪質とか。

書き終えると、鏡の前の椅子(回るやつ)まで案内された。

他に客も店員もいなかった。おっさんと僕の2人きり。人が怖い僕としては、都合のいい状況だった。

 

首にタオル、エプロンを巻かれた。

今日はどのように?と聞かれる。

特に希望はなかった。というか、そこまで考える余裕がなかった。

ただ「美容室に行って、髪を切ってもらうこと」しか頭になかった。

沈黙。気まずい。

するとおっさんはおどけた口調で、

「僕みたいにしますか?」

と提案して来た。

おっさんは、スキンヘッドだ。僕は、笑った。

それでだいぶ緊張が解けた。

僕は一言、社会復帰できる感じでお願いします、と伝える。

すると今度はおっさんが笑ってくれた。

それから30分ぐらい、話しながらのカット。

おっさんの息子の話や、僕の引きこもり生活の話。

もちろん緊張はしたけど、調子は崩れなかった。

ここに来てよかったと僕は思っていた。

 

肩まで伸びっぱなしだった髪は短く切断された。だいぶ梳いてくれたみたいで、いい感じに毛先が不ぞろいになっている。前髪は長めに残して、横は耳にかかる程度、後ろはよくわからないがさっぱりした。

何年か振りのプロによるヘアカットだ。

僕は生まれ変わった気分で、店を出た。

それでは、また。