トラウマ
ベランダの洗濯物を取り込んでいると、
下校する小学生の集団が現れた。
僕はあわてて引っ込んだ。
何も悪い事はしていないはずなのに。
小学生のころ、僕は登校拒否をしていた。
親が離婚し、親戚のいるこの地域に引っ越したばかりで、クラスに馴染めなかった。
正直に言うと、学校なんか行く気がなかった。
父が消えて、次は母が自分の元から去ってしまうかもしれない。
そう思うと、不安だった。
学校なんか行ってる場合じゃなかった。
しばらくは平和だった。
家で折り紙を折って、勉強はNHKの教育番組で済ませ、余った時間はマンガと昆虫採集。
しかし、来た。
クラスメイトが。
1クラス全員だ。
担任の先生が気を利かせたらしい。
「○○(僕)くーん!」
30人ぐらい。
玄関先に来た。入ってくる。
大変だった。
おもちゃをいじられたり、折り紙をつぶされたり、本とかも勝手に読まれた。
静かだった世界が壊される。
追いつめられた僕は外へ逃亡。
活発な男子たちが追いかけてくる。
怖かった。
結局捕まって、連れ戻された。
無邪気な笑顔たちが不気味に光っていた。
そういう事があって人に対する恐怖心が植え付けられた。
トラウマ。
今思い出すと、そんなの大したことないようにも思える。
しかし、おとなしい子供だった僕にはマジで怖い出来事だった。
それからどこか人に対する苦手意識みたいなものができた。
未だに小学生を見ると体がちょっとこわばる。
今は今で彼らは容赦がないから、苦手だ。
でも、いつかその問題もクリアしたい。
ひとつずつ、やっていこうと思っている。
それでは、また。