ラブレター

未だに捨てられないでいた。

生涯初にして、おそらく最後のラブレター。

高校生をやっていた時にもらった。

夏休みだった。

同じ中学だった友達とその彼女、彼女の友人、僕、という構成で、遊んだ。僕以外、全員他校の生徒だ。

いわゆるダブルデート。

けっこう楽しかったのを覚えている。

その時僕は口を滑らせた。

「同じクラスに好きな子がいる」と。

無事ダブルデートを終えて、後日ラブレターを受け取った。

僕は好きな子がいたので、交際は断った。

その後が大変だった。

ばらされた。

というか、口止めしなかった僕の手落ちか。

クラスの連中に、あいつ好きな子が同じクラスにいるらしい、と広まってしまった。

他のクラスから、例の女の子の知り合いが僕を見に来る。

最低な奴だ、と。

いじわるなやつに、いびられる。

朝、教室に入って部活に行くまでの間ずっと。

あとはもう……。

そのあたりから、クラスの最底辺みたいなポジションになって、人が怖くなる。

だんだん登校拒否。

毎日頭痛と吐き気と、鼻血。

なのに、母は入院で僕はひとり暮らし。相談相手もいなくて、追いつめられていった。

最悪で惨めな日々が続いた。

でも、女の子に「好きだ」と言われた事がうれしかったのも本当だ。

つまりこのラブレターは、「人に好かれた証」であり、「苦しみのスタートキー」でもある。

捨てるべきか？

いつまでも過去にすがっていても前に進めない。

でも。しかし。

うーん。

それでは、また。