ちょっと落ち着いた

おととい師匠にふられて、昨日１日泣き通し。

だいぶ落ち着いた。

ずっと室内にいても気分が塞ぐので外に出た。

道を歩きながら、努めて冷静にふられたことを考える。

あれでよかったのか？

あれでよかったんだ、って自分に言い聞かせる。

あれほど恐れていた車や近所の人が怖くない。

どう見られるかより、どう見るかに意識が集中していた。

ショベルカー。

建物が取り壊されていた。

うどん屋さんだったとこ。

１度だけあのうどん屋さんに入った事がある。

中学生の時、卓球部の顧問の先生に連れてこられた。

学校に行ってなかった僕を、先生は車で迎えに来てくれた。

それをきっかけに中学の時の不登校は解消された。

で、迎えに来てくれた日の帰りにうどん屋に寄った。

うどんをおごってもらう。

「学校にちゃんと通うんだぞ」

――はい。

沈黙。

先生が自分を心配してくれてるのはわかっていた。

感謝もしていた。

だけど、言葉が出なかった。

「何か」を話さなきゃいけない。

でも、その「何か」が出てこない。

ここ半年ぐらい、僕は色んな事を思ったり考えたり、行ったりした。その結果、

今ようやくその「何か」を手にした気がしている。

「この先生に一生ついていこう」なんて思っていたのに、

その先生はそのあとすぐに転勤してしまった。

置き去りにされた気分だった。

師匠は僕を置き去りにするだろうか？

もう、僕に会いに来てくれないかもしれない。

さみしいなあ……。

うどん屋の前でそんな事を思ったのだけど、僕はふと思い出していた。

今の自分にはクロという不細工な相棒がいることを。

帰り道のコンビニでポテトチップを買った。

クロのお土産として。

誰かの力になりたい。

もう僕は無力な子供ではないのだから。

そんなことを考えた１日だった。

それでは、また。