バーガー

実験４日目。

どれだけ自分が外の世界に適応できるかの実験。

今日はコンビニへ行ってきた。

ノーヒルナミンで。

近所のコンビニ。

２年ぐらい前にできた。

青い看板がまぶしい。

店舗は決して大きくはないが駐車場は広い。

トラックの中でカップめんや弁当を食べている人、寝てる人、何か笑ってる人もいた。

店の入り口で外人さんが興奮気味に携帯で喋ってた。

怒ってるっぽくてちょっと怖い。

店の中に入ろうとしたら、出てくる人がドアを押さえててくれた。

そういう気づかいがすごく嬉しい。

軽く頭を下げる。目があって笑顔。

僕はうまく笑えてただろうか？

入店する。

「いらっしゃいませ！」

大きな声。

ちょっとビビるも今日は本のコーナーへ逃げず正面突破。おにぎりの棚まで突っ切った。

何度か通ううちに気付いた。

 こっちが自意識過剰にならなければ、店員さんだってじろじろ見てこない。

笑われても、何か失う訳でもないし。

まあ、傷つきはするけれど。

店内を回った。

雑誌を立ち読みしたり、整髪料のコーナーを物色したり、お酒の棚を観察したりした。

１０分ぐらいしても、調子が崩れない。発作は起きない。

僕はよし、と小さく喜んだ。

お腹が空いていたので、何か食べ物を買って帰る事にした。

パンのコーナーへ。

菓子パン、総菜パン、様々な商品が陳列されていた。

その中で異彩を放っていたのは、「Ｌチキ　バンズ」だ。

丸いパンで、横から水平方向にカットされて、上下に分かれている。

つまりハンバーガーのパン部分。具はない。７０円。

どうやらレジのところで「Ｌチキ」という商品を買って挟んでくれ、ということらしい。

おもしろそうだと思ったので、それを持ってレジまで。

揚げものの棚を見る。コロッケとか、メンチカツとか、から揚げ、そして「Ｌチキ」もあった。

僕はチキンは苦手だったので、「げんこつメンチ」という１６０円の巨大なメンチカツを注文する事にした。

「店長！」と他の従業員に呼ばれていた人がレジを打ってくれた。

「Ｌチキはいかがですか？」と聞かれたので、げんこつメンチでお願いします、と頼んだ。

楽しい気分だったので、聞いてみた。

Ｌチキの方がいいんですか？オススメは何ですか？と。

すると店長は、そうですね、僕のオススメは普通のコロッケですね、と答えてくれた。

じゃあ、今度やってみます、それではまた、と言って店を出た。

最近そういうふうに知らない人と話す事が増えた。

大半は社交辞令だけかもしれないけど。

でも、自分の中でさみしさの分量がちょっとずつ減っていくのを感じる。

それがうれしい。

肝心の「げんこつメンチカツバーガー」はおいしかった。

パンは表面がつるつるしてて、中はふわふわしてる。

げんこつメンチはもう、肉汁ブシャー！だ。

昼飯はそれ１個で済むボリュームだった。

何だか今日もいい感じだった。

それでは、また。