hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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河童の季節

僕は冬の夜明けになると、自販機に行くことがある。

寝起きに甘いものがほしくなるので、おしるこを買いに行くのだ。

甘くておいしい、粒入りのやつ。

 

それで、ずっと怖かった。

自販機は川沿いにあるのでたまに、ばちゃばちゃ音がする。

大体は野鳥の飛び立つ音だったりするのだけれど、

僕は暗闇の中で水の跳ねる音を聞くと、河童を想像してしまう。

河童が襲ってきたら怖い。

31歳にもなる男が妖怪とか怖がるのは自分でもどうかと思うが、マジ怖い。

理屈じゃなく、本能が僕に訴えてくる。

河童はやばい、と。

 

理由がある。

原因は幼い頃に母に聞いた話だ。

母も河童を見た事はないらしい。だが1年ほど前に亡くなった母のおじさんが、河童に遭遇したという。

母の田舎は東北の山奥だ。

あそこなら河童が出てもおかしくない、というぐらいの田舎だ。

そのおじさんによると、河童の肌は緑色で、皿は無く、ただのハゲだという。

顔は人間そのもので、向こうも子供だった、と。

で、おじさん(少年時代)はその河童と、目が合った。

場所は沼だという。

無言のまま見つめ合い、茫然としたおじさんを置いて河童は山中に去って行ったという。

その話を僕は子供のころ、母から又聞きした。

ちょうどその頃、僕は「ゲゲゲの鬼太郎」にハマっていた。

そのエンディングテーマの歌詞が、

「言う事聞かない悪い子は、夜中迎えに来るんだよ」という印象的なフレーズを含んでいた。

僕の頭の中で、その歌詞と河童の話が結び付いた。

結果、河童が僕を狙っているというイメージが、幼いころの僕の脳裏に刷り込まれた。

そのトラウマが未だ残っているのだ。

 

なので理屈では「河童なんていない」と否定できるのだが、正直ビビってしまう。

しかしここ最近は、夜明けが早くなった。

もう怖くない。

安全におしるこを買いに行ける。

まあ、冬が終わるとおしるこもその姿を消してしまうのだけれど。

 

春が来た。

桜が待ち遠しい。

それでは、また。