ワイン
今日はコンビニへお菓子を買いに行った。
うまい棒のチョコ味が急に食べたくなったからだ。
熱々のブラックコーヒーをちょびちょび飲みながら、一本ずつゆっくり食べる。
数十円で実現可能な僕のぜいたくのひとつだ。
普通にコンビニへ行くようになってから気付いたことがある。
それは、店に出入りする時に、知らない人でも入口に誰か人がいたら扉を押さえて待つ人がけっこういる、という事だ。
僕は被害妄想が強い方なので、そういう何気ない人の気づかいを見ると、嬉しくなってしまう。
卑屈すぎるかもしれないが、「ああ、自分も人間扱いされているな」と思う。
遠くに住む友人が、「都会の人は冷たい」と言っていた。
ここは田舎だから人が優しいのかな、などと仮説を立ててみた。
ここ、けっこういい町かも。
それで、肝心のうまい棒は、
あった。5本確保した。
そのあと、興味の赴くまま店の中をさまよった。
お菓子のコーナーの隣に、お酒のコーナーがあった。
日本酒、洋酒、様々なお酒が並んでいた。
その中でひときわ目を引くのがワインボトルの群れだ。
気になったので目を向けてみた。
僕はお酒の事は全然わからない。
ワインに対しては「高いもの」というイメージがあった。
何十万とか何百万とか。
ところが思ったより安い。
598円とか、698円とか。
棚の説明書きには、合う料理:肉じゃが、ステーキ。などと書いてあった。
ステーキはイメージに合うけど、肉じゃがは意外な気がする。
わくわくしながらワインをしばらく眺めていた。
買おうかな、と思った。
しかし、自分が精神科の薬を飲んでいる事が頭をよぎる。
説明書にも、アルコールは避けて下さいと書いてあった。
お金がもったいない気もする。
ところが。
僕は見つけた。
100円のワインを。
牛乳パックみたいなやつ。ピンク色で片手に収まるサイズ。
買ってみた。
それで、さっき飲んでみた。
僕は普段お酒を飲まないせいか、戸惑っている。
身体がぽかぽかするし、鏡を見ると顔が真っ赤になっている。
気分も陽気な感じだ。
パックの表示を見ると、アルコール分12%。
これは高いのか低いのか、僕にはわからない。
でも、効いている。
何が「効いている」のかわからないが、効いている。
気持ちいい。
たまにならいいかなって思う。
新しい贅沢を見つけた。
それでは、また。