hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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殴られた事がある

本棚の整理をしていたら、ガンダムの名言集が出てきた。

「親父にもぶたれた事が無いのに」。

僕も父親に殴られた事は無い。

しかし、1度だけ人に殴られた事がある。

 

あれは初めて閉鎖病棟に入院した時の事だ。僕が19歳の冬。

年末だった。

緊急入院だったので、家から遠い当番病院に入院することになった。

僕を殴ったのは男性だ。

彼は、ナースステーションで右も左もわからない僕に話しかけてきてくれた。

年上。

たしか4つ上。

フレンドリーに「仲良くしよう」と言ってくれた。

余裕のなかった僕は、はあ……、と曖昧な返事をした。

 

で、食事の時には「こっちだ」と言って隣に呼んでくれたり、

僕が落ち込んでいたら「何でも言えよ」と励ましてくれた。

 

彼は、いつもボーっとした感じだった。

他の人の話によると「だいぶ落ち着いたんだよ」との事だった。

それでもキレる時はキレていた。納得がいかない時はケンカもする。

「やる時にはやる」というオーラも出ていた。

しかも頭もよかった。病棟にはオセロがものすごく強いおじさんがいた。

僕はそのおじさんと勝負したことがある。結果はパーフェクト負け。

誰もそのおじさんに勝てなかった。

しかし、病棟で彼だけがそのおじさんと対等に戦えていた。

 

彼は僕を名前で呼んでくれた。

それが嬉しかった。

しかも、顔もかっこよかった。

もし僕が女として生まれていたのなら、確実に惚れていたと思う。

 

彼には、同じ病棟に彼女がいた。

明るいけど、ちょっと影のある女の子。

いつも2人でいちゃいちゃしてて、羨ましかった。

 

ある時、彼女は浮気をした。

その浮気相手が僕だった。

隠す事は出来たかもしれない。

しかし、僕は彼の事が好きだったので嘘はつけないと思い、事実を正直に告白した。

そしたら、殴られた。

腹と腕を何発か。

一瞬のことだった。全てを言い終わる前に、殴られた。

打算も、駆け引きも、迷いもない、ストレートな感情表現。

僕は床に崩れ落ちて、あれ?何か痛い。となって殴られたことに気づいた。

 

結局それだけで許してもらえた。

後腐れはなかった。

僕は嬉しかった。

それほど強い感情を自分にぶつけてもらえた事が嬉しかったし、

裏切った僕をゆるしてもらえたことに対しても喜びを感じた。

 

僕の今までの人生において人に殴られたのは先にも後にもあの時だけだ。

 

彼には夢があった。

たしか、社会福祉士になること。

病棟でノートを広げ、いつも勉強をしていた。

日記もつけていて、それにも「今日、○○(僕)を殴った」と書いていた。

退院後、僕も紙ノートに日記をつけ始めた。今年で11年目。

飽きっぽい僕が日記を付け続けていられるのは、彼への憧れがまだ残っているからだと思う。

 

彼は夢を叶えただろうか?

日記を付け続けているだろうか?

そもそも生きているかどうかすらわからない。

ただ、

僕も人を殴る時は意味のある殴り方をしたいと思っている。

それでは、また。