思い出した
自分の中で大きな変化があった。
昨日の昼ごろ、実家に行くと姉がいた。
甥っ子が中学生になって、サッカーの審判員の講習を受けることになったという。
姉はその登録手続きを携帯でしていた。
だが、姉は機械とかコンピューターとかが苦手な人だ。
30分ぐらい粘ってたかと思うと、いきなり「わからんわ!めんどくさい!」とキレ出した。
なので、僕が手助けをすることに。
全角、半角の入力がわからなかったようで、問題はそれだけだった。
うまくいった。
それで、
「○○(僕)がいてくれてよかった」と言ってもらえた。
それが、ものすごく心に響いた。
姉からするとどうでもいい些細な言葉だったかもしれないけれど。
僕は幼いころ母子家庭で育った。
母と姉と僕の3人家族だ。
小学生になってしばらくして母がうつ病になって入院した。
当然、僕が頼るのは姉しかいない。
僕はどこへ行くのでも「姉ちゃん、姉ちゃん」と姉の後についていた。
しかし、姉も中学生で多感な時期だったし、僕の事を疎ましく思っていたのだと思う。
僕はその事に気づいていた。
姉もその事はわかっていたのだと思う。
近所の大人にも「かわいそうな子」みたいに見られていたし、僕はどこか卑屈な気分に満ちた少年時代を過ごしていた。
ある日、姉と大ゲンカをした。
細かい事は覚えていない。が、姉は僕にこう言った。
「あんたは人の気持ちがわからない。本当にうっとうしい」
きつかった。
その日から僕らはどこかギクシャクし始めた。
間もなく姉も大病を患って入院。
仲直りすることもなく、互いに歳を重ねた。
大人になってからは普通に話すようになった。
というか、相変わらず僕は姉の世話になりっぱなしだ。
それでもケンカした時の姉の言葉を僕は根に持ち続けていた。
それが、昨日の言葉で「もういいや」って思えた。
昨日の夜に思い出した。
あの頃「どうせ僕は人の気持ちなんかわからない。わかってたまるか」と意固地になっていた事を。
その事が無意識的に自分にブレーキをかけていたのだと思う。
今なら素直になれる。
人の気持ちをわかりたいとも思える。
僕は変われるかもしれない。
それでは、また。