熱が下がらない。
頭が痛い。腰が痛い。とにかく痛い。
熱も39度台で、昨夜は40度ジャストまで上がった。
寒い。
毛布と布団のセットをかぶって、ようやく震えが止まるくらい。
朦朧とする意識の中で、僕は1匹の猫の事を思い出していた。
名前は「健太」♂。享年12歳。
僕の両親は結婚してすぐ、電気屋で大きな冷蔵庫を買った。
その「おまけ」が健太だった。
茶色のトラ猫だ。父も母もすごく可愛がっていた。
僕は不必要に小動物を傷つける事は悪だと思っている。
そんな感覚が身に着いたのも、健太がいたからだと思う。
それで、僕が6歳の時、今と同じように高熱で倒れた。病院に入院していた。
丁度その時に、健太が死んだ。
母は事あるごとに僕に「健太は○○(僕)の代わりに死んだ」と繰り返した。
嫌だった。
けど、もしそうなら、
彼は命の恩人(恩猫?)という事になる。
そんな事を今日、布団の中で思い出していて、気付いた。
僕はおそらく、自分が思っている以上に「無かったこと」にしてしまっているだろう、と。
人の気持ちとか、気遣いに気づけずにいたのだと思う。
不平不満ばかりで、ちゃんと感謝してこなかった。
健太の事も忘れていたわけだし。
きちんと人(や猫)の気持ちを受け止められる男になりたい。
それでは、また。