エスパー
10代のころ一時期、僕は毎朝太陽に向けて手をかざしていた。
力が欲しかったのだ。
超能力が。
図書館で借りた本に書いてあった。
「100日連続で朝日に手をかざすと、超能力者になれる」と。
あの頃の僕は、それを信じた(笑)。
1週間ぐらいは続けることができた。
しかし、その後雨が降る。
「えっ、無理じゃん」と気づき、超能力者になるという僕の儚い野望はそこでついえた。
あの頃、僕は自分に自信を持てなかった。だから、
「特別な力があれば、この劣等感も消える」みたいに思っていた。
今思うと、そういう動機を持って行動してたから自信がつかなかったんじゃないかという気もする。
スプーンを曲げられなくても、できることはあると気づいた。
笑顔で人に接するとか、
人に何かしてもらったら、ちゃんと礼を言うとか。
あとは人に迷惑をかけたら、素直に謝るとか。
そういう普通の事ができればいいやって思う。
しかし、今でもたまに朝日を見ると手をかざしてしまうのは後遺症。
それでは、また。