夜更かし

久しぶりに夜更かしをした。

早朝のサッカーを見るために。

それで夜の間コーヒーを飲みながら、ゆっくり小説を楽しんだ。

１冊読み終えて、僕は放心した。放心しても朝まで時間がたくさんあった。

昼間はする小学校からの子供の声も、町内を走る廃品回収の放送も無かった。

静かな夜。

昔の事を思い出した。

小学生の頃、登校拒否をしていた僕を、母はいろんな施設に連れていった。

児童相談所とか、大学病院とか。

よくわからないテストとか、箱庭療法をやった事を覚えている。

母は今でもその時の事を「自分は頑張った」と誇る。

僕にとってはそんなことはどうでもよかった。

色んな人と話した。

親子そろって相談もしたし、専門家のアドバイスも受けた。

だがついに、母が直接僕の気持ちを聞いてくれる事はなかった。

そして僕は学校へ行かなかった。

今でも覚えている事がある。

嬉しかった思い出だ。

それは親子３人で、２４時間テレビを見ていた時の事だ。

夜中に母が僕に話しかけてきた。

当時僕はプラモデルにハマっていたのだが、プラモデルなんか面白いの？と聞かれた。

僕は、一生懸命説明した。

ザクがどうとか、シャアがかっこいいとか。

自分がそこにいる事を認めてもらえた気がした。その時は。

だから、嬉しかった。

いつだって僕が求めていたのは、人の関心だったから。

いろんな大人たちの話なんかより、その時の何気ない母の言葉の方が強い印象として残っている。

自分にもし子供ができたら、その子の気持ちを受け止めてあげられる父親になりたい。

しかし、冷静に思うとその感情は、愛じゃないかもしれない。

ただの復讐かもしれない。

子供からすれば、ただの厄介者かも。

でも、よく考えてみると子供とか結婚どころか、今の僕には彼女すらいない（笑）。

夜は長い。

余計なことを考えてしまった。

それでは、また。