自意識は置いて
僕はずっと人と話す事が苦手だと思っていた。
不安だったのだ。
その時話している相手に「つまんない奴だな」と思われる事が怖かった。
自信がなくて、怯えていた。
緊張するし、目を合わせられなかったし、楽しくもなかった。
あるとき、自分に問いかけた。
「本当に自分はつまんない人間だとしたら、どういうところだろう?」と。
越えられない問い。
わからない答え。
けっこう長い間、考えていた。
それで、きっかけは何だったか忘れたけど、不意に答えが出た。
「自分がどう見られるかばかり気にしているところが、つまんない」と。
その事に気づいてから、僕は考えるのをやめた。
考えるのをやめて、人とその場にいる事を楽しむようにした。
できるだけ自意識を排除した。
というか、一生懸命人の話を聞いていると、自意識はけっこう簡単に飛ぶ。
そうやって人の話を聞いて、自分でも喋るようにしたら、突っ込んだ話をしてくれる人が何人か現れた。
その人が生きている世界をどう見ているかとか、その中で何を大事にして生きているかとか。
自分もその人の世界に参加させてもらっている感覚。
さみしさがちょっと揺らぐ。
そういう事に手ごたえを感じる。
最近は、人と目を合わせられるようにもなり、人といる事も楽しめるようになった。
「面白い事」や「すごい事」を言わなくても、人はけっこう関心を向けてくれる。
優しくないのは自分の物の見方だった。
無駄に力が入ってたんだなあ、と思う。
それでは、また。