hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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執念

僕は子供の頃から、思い通りにならない事が多くて、人生を悲観していた。

親が離婚して父親がいなくなったり、6つ年上の姉に嫌われていたり、母親がうつ病になって自殺未遂したり。

そんな僕を見て、あからさまに見下してくる人もいたし、「かわいそう」と同情をかけられるのも何だか嫌だった事を覚えている。

 

それでも。

いいこともあった。

色々教えてくれるいとこがいたし、登校拒否だった僕を必死で学校に連れ戻してくれた先生もいた。

猫がずっとそばにいてくれたし、依存するチョコレートも手元にあった。

恋もした。しょっぱいのばっかりだけど。

そういう、自分を気にかけてくれる人は常にいて、それが僕の幸運だったと思う。

 

だが、導いてくれる人はいなかった。

「何が人生のゴールか?」とか「どうすれば幸せになれるのか?」とか教えてくれる人だ。

そんなの誰にもわからない事かもしれない。

でも、子供の頃の僕はずっとそういう事を知りたかった。

そういう事を、もし父親がそばにいたら教えてくれたのかな、なんて妄想していた。

自分の手で答えを探さなかったのは、完全に僕の怠慢だと反省しているけど。

 

それで、転機は訪れた。

統合失調症にかかって病院送りになった時だ。

措置入院。重症だった。

発作が起きる度に壊れそうになった。

生き残って廃人になるのか、ひと思いに命を断つのが楽なのか、判断が難しかった。

結果的にはどちらも回避できた。ラッキーだ。

しばらくして状態が落ち着き、閉鎖病棟から開放病棟に移り、病棟の外へ出られるようになった。

しかし、平日は外来のロビーには決して近づくな、と看護師さんたちに言われていた。

だが、土日なら大丈夫だった。

なので、僕はちょくちょく外来のロビーへと繰り出していた。

 

そこで出会った。

人じゃない。雑誌だ。

週刊誌。いわゆるゴシップ記事とかが載ってるやつ。

その中に、ある芸能人の連載インタビューが載っていた。

男の人。派手な印象。一流芸能人。

僕の彼に対する印象は「人生を楽しんでいる人」だった。

インタビューの中で彼は、色恋とか、暴力とか、お金とか、僕の知らなくて、しかも知りたい事を語っていた。

独特の、でもわかりやすく本質をついた語り口で自身の経験を語っていく。

面白いと思った。

なので僕はロビーにあるその連載を全部読み、さらに最新号が出る度に真っ先にチェックしていた。

 

それである号で、彼は人生が変わったきっかけを語っていた。

なんと、ある時まで彼は自分の事が嫌いで、人生を否定していたという。

ところが、彼にも出会いがあった。

人格的に尊敬できて、地位も名誉もある人だったらしい。

彼はその人にズバリ聞かれた。

「君は自分の人生をつまらないと思いたいか?それとも素晴らしいと思いたいか?」

そこで彼はこう思う。

「僕は自分の人生を素晴らしいと思いたい!」

そこから彼の人生は変わっていったという。

 

そのくだりを読みながら、当時の僕も自分に問いかけた。

自分の人生を素晴らしいと思いたいか?

答えは明確に出た。

僕だって自分の人生を素晴らしいと思いたい。

はっきりそう思った。

それで、自分の中で何かが変わった。

絶対に幸せになってやるという、執念のようなものが芽生えた。

そして、人生を悲観する事をやめた。

 

あれから10年経った。

僕は自分の人生を素晴らしいと思っているか?

思っている。

思うだけならタダだし(笑)。

それは冗談としても、日常生活を普通に送れるようになって、それだけでも嬉しい。

身体がガタガタ震える事もないし、人もそんなに怖くなくなった。

薬漬けだった時とは比べようもないほど自由だ。

だから、素晴らしい。

あとは働けるようになったらいいなあ、と思っている。

それでは、また。