hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

【送料無料】僕のひきこもりナンパ宣言...

【送料無料】僕のひきこもりナンパ宣言...
価格:1,365円(税込、送料込)

弁当屋と警察とチョコと女の子

昨日、自転車で出かけた。

色々な事が起こった。

3つ起こった。

 

1つめ。

念願の自転車ゲットにより、僕は今まで考えられないほどの行動半径を得た。

そういう訳で、遠出した。

一駅となりの町まで。

バイトを探しに行ったのだ。

目星は付けてあった。

弁当屋。チェーン店。

ネットで調べたらそのチェーン店はけっこうアルバイトを募集していた。

その店舗そのものの募集情報はえられなかったのだけど、もしかしたら、と思い、僕は行ってみる事にしたのだ。

で、店のガラスに貼ってあった。

「アルバイト急募」。

よし来た!と僕は心の中で叫んだ。

ちょっと深呼吸する。直接、店内に入って問い合わせようと思った。

印象が悪くなると良くないと思い、両手に付けていたリングはすべて外し、ポケットにつっこんでおいた。

緊張しながら、入店する。

白ひげのおじさんに迎えられた。

アルバイトしたいんですけど、と聞く。

すると。

「ごめんね、今さっき他の人に決まった所なんだよ。申し訳ない」と笑顔で断られた。

そうですか、と僕はすみやかに店を出た。

うーん、残念。

まあ、しょうがないか。と思いながら自転車で走りだした。

だが。

ふと、嫌な考えが浮かぶ。

そうタイミングよく、自分が行く直前に他の人に決まったりするのだろうか?と。

体良く断わられただけじゃないのか?

僕はものすごく緊張していた。

だから、挙動不審になっていたかも。

そういうみっともないところを見て、こんな奴雇えるか、と思われたんじゃないか?なんて考えてしまう。

その考えは自分でも被害妄想が入っている気がする。

いや、しかし、でも。どうなんだろう。

それに、人を疑うのか?

笑顔の素敵なおじさんを疑うのか?

なんか最低だな……。

そんな事を考えていて、僕は落ち込んだ顔をしていたのだと思う。

そうしていたら。

 

2つ目の事件。

パトカーに呼び止められた。

「そこの自転車、止まってください」と。

すぐに停止すると、パトカーも停車し、中から警察官が出てきた。

若い男性だった。僕より年下かもしれない。

足元を見ると、革靴なのだけど、しわが寄っていた。この人はたくさん歩いているのだろうか?

とか考えていると、質問された。

「その自転車、防犯登録していますか?」と。

していない、と僕が応えると、彼は僕の自転車の車体ナンバーをチェックした。

そのまま無線で連絡。「確認お願いします」と。

番号を通信相手に告げると、彼は僕に向かって質問をしてきた。

「どこで買ったんですか?」とか、

「最近買ったんですか?」とか。

察しはついた。

こいつ盗んだんじゃねえか?と思われているのだと。

こうも聞かれた。

「今日はお仕事休みなんですか?」と。

僕は曖昧に、まあ、と呟くと、

彼は視線を向けてきた。

僕はバイトを断られた直後という事もあって、ちょっと反抗的な目で受け止めてしまったのかもしれない。

そのまま数秒間、見つめ合ってしまった。

そうしていたらタイミングよく、無線が入った。

何も問題はない、という回答だったらしい。

その後、このあとどこへ?と聞かれ、僕がシャンプーを買いに行く、と答えると、

彼はそうですか、協力ありがとうございました。と締めくくり、開放を宣言した。

僕はお仕事がんばってください、と彼に告げて脱力しながら自転車をこぎ出した。

半分放心したまま、帰り道のドラッグストアでシャンプーとチョコレートを手に入れた。

 

 

3つ目の出来事。

気が付くと、河原にいた。

いつも歌を歌っている河原だ。

そのまま部屋に帰る気になれなかった。

なんだか、落ち込んでいた。

被害妄想の入った劣等感や、人を疑ってしまった事。

警察の人に不審者扱いされた事。

逆恨みにも似た、苛立ち。

何かに負けた気がする。

情けない気持ちでいっぱいだった。

しばらく、うつむいて固まっていた。

 

疲れていた。

若干の空腹を感じたので、

ポリ袋からチョコレートを取り出して、かじった。

……甘かった。

いつも通り、甘い。

そこで、気付いた。

なにも、変わっていない。

なにも、失っていない。

それなのに、どうしてこんな気分になっているのか?

ポジティブな意味で、自分がバカみたいに思えた。

わるい事なんて起きていない。

断わられたけど、挑戦はできた。

職務質問だってレアな経験だ。とらえ方によっては楽しい。

少なくとも、部屋に引きこもっていたら、何一つ手に入れられない経験だ。

きっと、前には進んでいる。

だから、いい。

そうだ、気分を明るくしよう。と思った。

いつも通り歌う事にした。

声を出せば、僕は元気になれるからだ。

体育座りでうつむいたまま、歌う。

声を震わせるうちに、心に力が戻ってくる。

よし、乗り越えた、と思った。

歌はサビの部分に差しかかった。

テンションが上がっていく。

歌いながら、顔を上げる。すると、

「あ」

目があった。

河の向こう側に、女の子がいた。

手にはリード。白い犬がつながれていた。散歩のようだ。

僕は、止まった。

向こうも驚いた顔をしていた。

どうしていいかわからない。

超恥ずかしい。

うつむいてやり過ごすしかなかった。

30秒くらい、下を向いた後、恐る恐る見上げると、そこにはもう誰もいなかった。

 

いつもなら、常に周りを見渡して人が来たら、歌うのをやめていたのだ。

だけど、昨日は近い距離で思いっきり聴かれてしまった。

怖がらせてしまったかもしれない。

迷惑行為に当たるのかもしれない。

今度こそ、まごうことなき不審者だ。

……やってしまった。

 

というわけで色々あった。

僕は普段、部屋で本を読んでいるだけの生活をしている。

だから、昨日は刺激が多すぎて、戸惑っていた。

まだ、頭の中がまとまらない。

それでは、また。