意固地になるのやめる
働き始めて気づいた事が山のようにある。
自分の思い込みに気づいた。
働く場所を探していた時、ずっと頭の中にあったものは「働けば自分は救われる」というものだった。
理由とか原因はもう忘れてしまったのだけど、
とにかく僕は、
「自分には価値がない」「自分は負債だ」「のけ者だ」と信じ切っていた。
だから、病気が治っているのに家でダラダラしていると、余計に自分の価値が下がってしまう。これはまずい。と捉えていた。だから、
必死、というか強迫観念に近い勢いだった。
その事をはっきり自覚したのは最近なのだけど、とにかくそんなふうに考えて焦っていた。
働き始めれば、そんな焦りも消えるんじゃないか?
ついでにいうと、自分に自信がついて楽になれるんじゃないか?
そんな淡い期待を抱いていた。
それで、何とか働き始める事ができた。
だが、
何も変わらなかった。
相変わらず他の人たちは光り輝いていて、自分だけ何の価値もない。
混乱した。
どうしていいのかわからなくなった。
焦った。迷った。考えた。
でも、わからなかった。
それでも、毎日仕事はやってくる。
一生懸命はやっていた。
少しづつ、習熟は進んでいった。
地図の読み方とか、どこに誰が住んでいるとか、どういうルートを立てれば効率的かとかがわかるようになった。
それでも、自信なんか付かなかった。
ただ、「怒られたくない」「これ以上失敗はできない」。
そんな消極的な理由だけで、毎日をすり抜けた。
「誰かの役に立ちたい」とか、「甥っ子にかっこいいところ見せたい」とかそういう最初の勢いは頭から消えていた。
完全に、負けていた。
別に、何も困っていた訳ではない。
仕事があって、それに応えていけば日々は過ぎていくのだと思う。
ありがたい事だと思う。
だけど、「仕事をすればすべてが変わる」と思っていたので、僕はひとりで勝手に追い詰められた気分でいた。
どうすれば僕は、助かる?
誰か助けてくれ。
なんて思っていたけれど、誰にも言えない。
それは何よりも恐ろしい事だったから。
できるだけ、何も考えないようにして走り続けた。
頑張り続ければ、何かが見えてくるんじゃないか?
そう思って、その日一日を通り抜けてきた。
でも、
辛いと思ってしまっていた。
ところが、もう駄目だ、と思うたびに誰かが僕に力をくれた。
ある人は「そんなに難しく考えず楽にしろ」と言ってくれた。
ある人はメールで「あなたは独りじゃない」と応援してくれた。
配達先のおばあちゃんは「また明日会おうね」って笑ってくれる。
甥っ子たちは毎日学校帰りにここに来て「遊ぼうぜ!」って誘ってくれる。
コンビニへ行けば「お疲れ様」って言ってくれるお姉さんがいる。
パソコンを開いて愚痴を吐いてしまっても、ゆるしてくれる人たちがいる(申し訳ない)。
けっこう泣いた。
もういいんじゃないか?と思った。
卑屈になっていれば自分を守れた。
どんな嫌な事があっても、辛い事があっても、「自分には価値がないから」と言ってしまえばそれでかたを付けられていたからだ。
考えなくて済む。
向き合う事から逃げられる。
実に便利なシステムだった。
でも、もういらない。
できない事が多すぎるからだ。
人に素直に頼れない。
何かをしてもらった時、ひどく居心地が悪い。
自信を持てない。
好きな人に好きって言えない。
何よりも、面白くない。
だから、僕は「自分には価値がある」と思う事にした。
そうする事に決めた。
頭の中の書き換えはまだ終わってないけど、
なんだか楽になった。
なにもかも、ありがたい。
全力で自転車をこいで、歌って、本を読んで、だいたい笑って、たまに泣く。
そういう日々が続きそう。
それでは、また。