あの人のように

働き始めて２か月以上経った。

適応は進み、毎日楽しく近所で配達できている。

感謝。

会社の人はみんな優しい人たちだ。

その中でも１人、とくに大好きな人がいる。

大好きといっても男性だ。

一応断っておくが、恋とかじゃないし、僕はホモでもない。断じて（笑）。

ただ、ものすごく尊敬している。

その人は３０代後半で、いつも笑顔。

顔もかっこいい。

姉のママ友情報によると、彼に配達に来てほしくて必要もないものを通販で連打するファンもいるらしい。

つまり、モテる。

どことなく、チャラい感じもしないでもない。

メンズエステに通っているという噂も、本当かも知れない。

僕はいつもその人に元気をもらっている。

日中、僕は自転車、彼はトラックで配達。

同じ地域で配達しているので、たまに遭遇する。

そんなとき、彼は声をかけてくれる。

ケタ外れのテンションで。

片手をあげて、うえーい！みたいな。

それに対して僕も、拳を高く突き挙げて応えている。

お疲れ様ですっ！！と。

とにかくテンションが上がる。

最初、僕は単純に明るい人だなあ、ぐらいに思っていた。

ところが１度。

荷物をトラックの荷台で整理している彼に遭遇した。

びっくりした。

普段の彼からは想像もつかないくらい暗い顔をしていた。

こんな顔をする事もあるんだなあ、なんて思っていると、

向こうがこっちに気づいた。

そして、

頑張ってるね。お疲れ様！とあいさつしてくれた。

いつも通りの満面の笑み。

輝いていた。

その時、気付いた。

どんな人にだって、悩みの一つもあるだろうし、

疲れていたり、調子の悪い時だってある。

それなのに、彼はいつだって笑っている。

その笑顔によって、ファンの方々を始め、僕だって元気をもらってきた。

つまり、彼はただ明るいんじゃなく、

自分の意思で周りの人に元気を分け与えているのだと僕は確信した。

なんてかっこいいんだ、と思った。

ちょっとでも嫌な事があると、へこんでいる僕とはえらい違いだ。

彼はきっと、顔がカッコわるくたってモテるだろうし、イケメンなのだと思う。

その事があってから僕は、少しでも彼のようになりたくて配達中の笑顔を３割増しの出力にして頑張っている。

効果のほどは定かではないが、

いつか僕も人に元気を与えられる男になりたい。

それでは、また。