hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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刷り込みと扇風機

今日で5分間外出、三日目。

玄関先でぼーっとしていることに飽きたのと、「二日間大丈夫だった」という実績が僕の心を大きくさせていた。

日射しもきつくないし、すこし歩くか。

この油断が痛手を呼んだ。

吠えられたのだ、民家の犬に。

ちょっと驚く。しかし、本当の恐怖はそのあとに待っていた。

庭に出て洗濯ものを干していた飼い主らしきおばさんと目が合う。

睨まれた。

こわかった。

逃げた。

走って逃げた。

何も悪いことはしていないはずだが、「変質者出没!」とか騒がれたら嫌だな。

母にも迷惑かけることになるかも。

へこんで部屋に戻る。

すると、「ニャー」。クロの声がした。

ああ、目が覚めたのだな、とリビングへ向かう。

歩いていた。

目が、開いていた!

宝石のような赤。不細工な見てくれとは裏腹に、この世の神秘を思わせるその瞳は僕の心を、近所のおばさんの眼差しとは別の意味で、動揺させた。

そして、クロは……扇風機にすり寄っていた。

説明書に書いてあったことを思い出す。ええと、たしか……

「ドラゴンには刷り込みという習性があります」

「刷り込みとは、目がはじめて開いたときに「動いていて」、「音を出すもの」を見たとき、それを親だと思う習性です」

「あなたが親だと分からせるため、目が開く瞬間は必ずドラゴンのそばにいてあげて下さい」

1、扇風機は首振り運動を続けていて、

2、ブーンと音を出している。

そして、

3、クロは扇風機にべったりすり寄っている。

つまり、クロは扇風機を親だと思ってしまっているわけだ……。

……あんまりだ。

 

ヒルナミンは飲まずにこらえた。

それでは、また。