生き地獄
くるしかった。
昼食後、歯を磨き薬を飲もうとしたタイミングで、宅配のおじさんが来た。
クロの餌が届いたのだ。
そして、僕はうっかり食後の薬を飲み忘れた。
当然、発作が起きる。
貧乏ゆすりが止まらない。心臓が悪い意味で高鳴る。呼吸が激しく乱れる。
死ぬ。死ぬ思いだ。
急いで食後の薬を飲む。
緊急用のヒルナミンも投入。
それでもすぐには元の世界には帰らせてもらえない。
時間の体感が変わる。
5分経っただろう。→1分しか経っていない。
10分ぐらい→5分程度。という感じに、時間が引き延ばされているようになる。
苦しいうえに、時間まで敵になる。
吐き気にも襲われる。
飲んだ薬を吐きだす→回復不能→緊急で病院にかかる、というパターンになる。
僕の通う病院は家から車でも20分はかかる。僕は車の免許も、車自体も持っていないし、そもそも持っていても、運転できる状態でもない。
病院へは、近所に住む姉に送ってもらうことになる。迷惑をかけてしまう。
ものすごく、申し訳なく感じる。
だから、吐きださないように耐える。
光をさえぎって、時計の音に耳をすませ、足をガクガク震わせる。
吐き気をこらえながら、心臓と呼吸が止まる恐怖と向き合いつつ、芋虫のように耐える。
引き延ばされた時間の中、ひたすら耐える。
いつものことだけれど、慣れるものでもない。
どうしてこうなってしまったんだろう?
どこで僕は間違えた?
正解はなんだった?
わからないまま、今日という日が過ぎ去っていく。
それでは、また。