風呂と相棒
さっき風呂に入ってきた。
僕は、夜が怖いので午後8時には眠る生活をしている。だから、入浴時間が割と早めだ。
ゆっくり入浴していると、クロが入ってきた。
水やお湯に対する恐怖心はないみたいだ。
さすがに湯船にはつからない、しかし、手すりの所までのぼり、湯気をくんくん吸いこんでいた。
床や、手すりに残っているぬるま湯をぺろぺろなめるのが好きなようだ。
……うまいのか?
それはあいつにしか分からないけど。
バスタオルで軽く体を拭いてやると、扇風機のところへ走って行った。
あいつの「親」は扇風機だからだ。
ご飯をやるのも、トイレ掃除をするのも僕なのに。
でも、僕にはそれぐらいの距離感がちょうどよかった。
親ではなく、世話係。
最近のクロは猫のように気まぐれに甘えてくる。かと思えば、僕から近寄っても気分しだいでそっぽ向く。僕は僕で、基本的にクロをほっといている。気が向けば一緒に遊ぶだけ。
だけど、ご飯とトイレの世話だけはきちんとしている。それ以外は自由。実に気楽な共同生活だと思う。
何もない毎日だったけど、クロが来て待ったなし状態になった。プレッシャーを感じることのあったし、悩んだこともあった。
でも、今ではクロが来てくれてよかったと思っている。
扇風機の根元でクロが仰向けになって寝ている。
寝相が悪い。
あ、「ブ―」って鳴いた。
あいつ、今度は豚になった。
それでは、また。