みんな
昨日の事がちらついて、落ち着かない。
家の中になんかいられなかった。
近所の河原、土手の部分にある階段に一人で座って考えてみる。
小学校の方から聞こえる子供の声が耳に障る。
……川を流れる水の音を聞きたかったのに。
誰も、何も悪くないだろう。何をイラついているんだ僕は。
地面から草を引っこ抜いて川に投げつけた。
むなしい。
いま思うとあの草には悪い事をした。ごめん。
目を細めて遠くに行き交う車の列を見る。
赤とか青とか金とか。トラック、普通のやつ、地元の会社の送迎バス、タクシーとか、バイクも見えた。
あの一つ一つに人が乗っていて、どこかに向かっている。
「みんな」は誰かと関わっている。
師匠はサトウ君と恋に落ちてる。
クロは扇風機にべったりだ。
母は内職の担当の人に頼られてる。
姉ちゃんは家庭に入って家族を守っている。
僕は?
何もない……?
いや、そうじゃない。そう思いたい。
このままじゃいられない。何かしよう。
そういえば師匠に課題をもらってなかった。
何か自分で考えて行動を起こそう。
それでは、また。