図書館
昨日、自転車のパンクを直してそのまま図書館へ向かった。
ちょっと遠い。道中たくさんの車とすれ違った。
緊張した。がちがちに。
中学生の時の通学路の途中、和食屋の反対の道に入り、極端な坂道を登りきるとそこに図書館がある。
ほぼ白髪の、掃除をしていたおばあさんにあいさつされた。
何とか返事を返す。
自転車屋さんからのはしごだった事もあって、余裕がなかった。精神的にも、体力的にも。
しかし、そこからが本番だった。
自動で開く玄関を突破すると、受付カウンターが現れる。職員さんが2人。
もう、あいさつをする気力も無かったので、目をそらしてやり過ごそうとした。
「おはようございます」
――お、おはようございます!
声を出しすぎた。大声で言ってしまった。完全に不審者だ。やっちまった。
もうどうにでもなれ、と半ばやけになりながら奥へ進む。
お爺さんとおじさんしかいなかった。
新聞を読む人とか、本を読んでうんうん頷いている人、何もせずぼーっとしている人もいた。
古い紙のにおいがする。少し懐かしさを感じた。床がカーペットみたいになっていて、足音が響かないのがいい。
静かで落ち着ける。
右を見ても、左を見ても本がある。
僕は本が好きなので、わくわくした。ここに来てよかったと思った。
が、その場で読書を楽しむ余裕もなかったので、一冊本を借りて帰ることにした。
「吉本ばなな」という人の、「キッチン」という小説を借りた。
僕は普段、「○○の方法」とか「○○力」みたいなタイトルの本ばかり読んでいる。なので小説というものをあまり読んだ事がなかった。
この人の本を親せきの家で見た事がある。それを思い出して手に取った。
今日一日、これを読んでいた。
何というか、心が動いた。あらすじを簡単に(乱暴に)説明すると、
「全ての家族を失った女の子が、一時的に保護されて、自分と向きあい、生きる決意をする」話だ。(人によってちがうと思うけれど、僕はこうとらえた。)
この本を読んで、ある事実を突き付けられた気がする。
それは、
「人はいつか死ぬし、自分は(人間は)いつか一人になる」という事だ。
孤独を感じた。
同時に後悔のないように生きたい、とも思った。
明日、母に会いに行くことにした。
何かを伝えたい、そう思ったから。
それでは、また。