病気と答え
今日は2週間に1度の通院日だった。
受付カウンターへ診察券を出しに行く。
受付の女の子がメガネをかけていた。いつもはコンタクトだったんだろうか?
かわいい、と思ってちょっと見とれて固まってしまった。
「何か?」
不審そうに見られた。
ああ、やってしまった、と落ち込んでロビーの自販機コーナーへ向かう。
今日は人が少なかった。その中で見かけた事のない人たちがいた。見かけが40代ぐらいの男性と、白髪で腰の曲がった女性。
親子に見えた。
新規でかかった患者さんかな、と思った。
カップのコーヒーを買う。90円。ブラックを飲んで一人で勝手に大人の気分。
診察を終えて薬ができるのを待つ。
ロビーにおいてあるマンガ雑誌を読み終え、棚に戻し、もう一度コーヒーを飲もうとしたところで目が合った。
先程の親子だ。母親と見られる女性に話しかけられた。
「あなたもご病気なんですか?」と。
かなり高齢に見えたが、話してみるとしっかりした印象。
息子さんが病気を患っているらしい。けっこう遠くの土地から今日初めてこの病院にかかったという。
この地域は北上すると、都会に近づいて行く。
逆に南下していくと、精神病院は数えるほどしかない。
一番近くてこの病院、と言っていた。
交通の便も良くない。バスも通っていないので、駅を降りてタクシーに乗るか、歩くしかない。
不便ですよね、とか、病気がひどくなると風呂に入らなくなりますとか、物音に過敏になるという話をした。
結局息子さんとは一言も言葉を交わさなかった。
病気になって初めての受診。
状況の整理がつかない状態で服薬を迫られる。
これから自分がどうなっていくかの不安。
家族に対する責任。病気とどう向き合うか。
あの人にはたくさんの課題が待ち構えている。
ふと思った、自分こそどうなんだ、と。
そういう問題に、いまだ明確な答えを出せてない事に焦りを感じた。
今まで僕は人に避けられてばかりだったので、知らない人に声をかけられたのが嬉しくてしょうがなかった。
人に飢えてる自分に苦笑する今日この頃。
それでは、また。