エコ、怒られる、反省。
午後1時。
師匠は僕に断って、この部屋で昼食を食べていった。
コンビニ食。
おにぎりを両手で持って、ちょぼちょぼ食べる師匠を見て、僕の胸はキュンとした。
その視線に気づいた師匠は、何だ?と僕をにらんだ。
――すみません。何でもないです。
僕は小さくなった。
ゴミを持ち帰ろうとする師匠に、僕が捨てておきますと伝える。
悪いな、と言って師匠はゴミを解体し始めた。
――何してるんですか?
「ゴミの分別に決まっているだろう。燃えるゴミとプラスチックゴミだ」
――え?分別?
「お前、ごみの分別をしないのか?」
師匠の顔色が変わった。
「……ちょっと座れ!」
正座で説教だ。何だろう、パターン化してきた気がする。
エコの問題から、資源の大切さにつながり、最後には人はもっと地球や自然に敬意を払うべきだ!の話になった。
だいぶ慣れてきて、そんなに怖くなくなってきた僕は、正直早く終わらないかなと思ってしまっていた。
その表情を読んだのか師匠は一転、落ち込んだ顔をした。
――どうしたんですか?
「……私、口うるさいかなあ。だからサトウ君も……」
どうやらサトウ君とケンカしたらしい。
師匠は世渡りとか語るくせに、自分を曲げられない人だと思う。色々あるのだろう。
僕は、そんなことありません、師匠はいつだって正しいです、とか全力で励ました。
元気になってほしかった。
でも僕は、これって「元気になれ」っていう気持ちの押しつけかも、なんて葛藤していた。
ほどなくして師匠は元気を取り戻した。
「とにかく。自分のことしか考えない人間は結局損をする。そういうふうになっている」
――じゃあ、僕はどうすれば?
師匠は、教えてほしいか?となぜか小声になる。さらに近づいて耳打ちされた。
顔が近い。息がかかる。ドキドキする。ベロアのリボンが目の前で揺れる。
――えっ!?
その課題に僕は凍りついた。できる気がしない。
「やってみろ。やれる」
サトウ君と何とか仲直りして見せる、と宣言し師匠は去って行った。
ゴミの分別には気をつけようと思う。
それでは、また。