肉じゃがと姉。
姉の家には猫がいる。
3匹も。
「肉じゃが作りすぎたから、取りに来ない?」と、姉の家に招かれた。
自転車を走らせて10分弱。寒かった。昨日から急に寒くなった気がする。
庭付き2階建て、さらに畑付き。その昔、池があった場所らしく、いまだに地面を掘るとぬるぬるした昆布みたいなものが出てくるという。
玄関を開けると、さっそく猫が現れた。
「にゃー」とすり寄ってくる。人懐っこい。
僕は「おー、よしよしよし」と頭とあごの下を触る。
嫌がられない程度にとどめておいて、近寄ってきたらまた触る、を繰り返した。
ゴロゴロのどが鳴る。警戒はされてないみたいだった。
基本的にクロと同じ扱いでOKだ。というか、あいつが猫っぽい。
肉じゃがを受け取って、姉と少し話した。
クロの事を猫として話した。絶対に会わせるわけにはいかないが。
ペットあるあるで盛り上がる。
「新聞を広げると、その上に乗ってくる」
「ご飯を、噛みつき+鳴き声でリクエストしてくる」
「トイレ掃除が終わった途端、トイレに入る」など。
幼いころは会話のない姉弟だった。正直、嫌いだった時期もある。
話すようになったのは互いに大人になってからだ。
面と向かっては言えないけど、今は好きだし感謝もしてる。
姉は僕が病気になってから1度も僕に「がんばれ」と言ってきた事がない。
その意味を僕が受け止めた時ぐらいから、色々話すようになった。
けっこうでかいタッパーを持って、姉の家を後にした。
帰宅後、肉じゃがを昼食として頂いた。
肉や野菜のうまみの中にほんのりとした甘みがする。普段食べる事のない糸こんにゃくや、さやえんどうもたまらなく美味しい。
いつもカップラーメンばかりの僕には、なかなかの贅沢だった。
僕も料理を始めてみようかな。
それでは、また。