hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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キャッチボール

朝、換気のために窓を開く。

「うぉーい!もう一本!」成人男性の声。

「はーい!」大勢の子どもの返事。

温かいブラックコーヒーを一口飲んだところで、少年野球の練習だと気付いた。

 

このアパートは小学校の近くに建っている。だから土日の少年野球の声がしばしば聞こえてくる。

最初はちょっとした脅威だった。今は慣れたけれど。

僕は運動神経が鈍い。

小学校4年まで登校拒否をして引きこもっていたから、ボールをまともに投げた事すらなかった。

やる事といえば家の中でのファミコンぐらいだった。

 

学校に行き始めて、友達ができた。

休日。当時は土曜日も登校日だったから、あれは日曜日のことだったと思う。

少年野球をやっていた友達の家へ遊びに行った。

お父さんも休みだったので、その友人親子とキャッチボールをすることになった。

彼らは普段からやっていたのか、手慣れていた。

一方そこに混じるものの、僕はまともにボールを投げられなかった。

今でも、その時見た友人父の視線を覚えている。

大丈夫か、この子?という目で見られた。

恥ずかしいし、うらやましいし、くやしかった。

泣いた。

困惑させた。

それから2度とその子の家へは遊びに行くことはなかった。

 

いま。ボールを投げるとクロが走って取りに行く。

くわえて持ってきたボールを再び投げる。

嬉しそうに駆け出すクロ。

室内だけど今こうしてキャッチボールをできている。

たのしい。

少しは人生に復讐できている気がする。

だが、やめ時に困る。

クロはよほどこの遊びが気に入ったのか、10分程度じゃ終わらせてくれない。

噛みついて要求してくる。痛い。

……せめて甘噛みでお願いします。

それでは、また。