考えた
寒い。
朝、目覚めにシャワーを浴びる。
バスルームを見渡す。
寒いのは嫌だけど、冬はカビが生えない。そこがいい。
午前中は部屋の掃除をして、ちょっと散歩した。
裸になった木々を見て、時の無常を感じる。
気分転換を終えて、じっくり部屋で考えてみた。
「自分がもし自分を好きならどんな行動をとるか?」
「好きな自分」をイメージできない。
「嫌いな自分」ならいっぱい出てくるのに……。
だったら、嫌いな自分を特定して、その逆ならば好きになれるだろう、と発想を転換した。
自分の嫌いなところ。
師匠は「3つ」と言っていた。
思い浮かべる。
1つ。
反抗的なところ。僕は嘘つきだ。人と接するときには基本的に下手にでる。腰を低く。目立たないように。これは小さいころから。
でも内心、人に対して「このやろう」と反抗している時がある。今でもそうだ。裏表のある自分が嫌いだった。
2つめ。
自発性がない。いつも自分から行動を起こさない。夏休みの宿題はいつも期限ぎりぎりになって始めていた。答えはまる写し。
友達だって、向こうから来る人で、気が合う人とだけ付き合っていた。
恋に関しては、まともに相手と話すことなんてできなかったし、ましてやこちらから話しかけることなんて出来なかった。
こんなんじゃ、友達もできないし、恋なんて一生できないだろう。あせる。
言い訳して何もしない自分が嫌いだった。
3つめ。
自己中心的。人の気持ちがわからない。人が傷つくことを平気で言ってしまう時がある。学生時代、隣の席の女の子が「学校めんどくさーい」と言ったので、「じゃあ来なければいい」と言ってしまった。
大泣きされた。そのあと数人の女子が集まって大炎上。ひどい目にあった。
それに今だってあの子の気持ちがわかっているのかもわからない。そもそも人と接する機会が少ない分、人慣れしてない。
何とかしないと。そういえば師匠にも「自分のことしか考えてない」って説教されたっけ。
これで、3つ。
げんなりした。
「嫌いな自分」の逆を想像した。
「素直で、積極的で、人の気持ちがわかる自分」。
……嫌いではないかも。
こういう自分なら何をするかを考えて実行する、か。
荷が重い。でも師匠との約束だ。守りたい。やってみよう。
明日から。
それでは、また。