ファッションチェック
姉の前だと緊張する。
勝てる気がしないのだ。
小さいころから何をしても僕の方が劣っていた。
絵も、人づきあいも、料理も、折り紙も、歌も。
おおよそ僕の興味があることで、あの人に勝てたためしがない。
6歳も年齢差があるのだからしょうがない、と何度自分に言い訳したことか……。
唯一勝てたのは数学ぐらいか。姉はxとかyとかが苦手だったから。
その姉に相談してみた。
ファッションの事を。
自分なりにおしゃれをして、見てもらった。
「サイズがあってない」
「黒一色は難しい」
「よれよれは論外」
と教えてくれた。全部だめってことか……。
だが今回、僕は食い下がった。「おしゃれになる方法はないのか」と。
すると、
「自分がどうなりたいかをはっきりさせないと、何も始まらない」との事。
勉強し始めて思ったのだけど、「おしゃれ」という学問の全体像がさっぱり見えない。
僕の印象では、雑誌を見ていても「断片」は見えるのだけど、各ジャンルのつながりや、何が最上位なのかが見えてこない。
というようなことを姉に訴えたら、
「頭が固い」
「好きな格好すればいいだけ」
「その考え方がおしゃれじゃない」と突っ込まれた。
僕はどんな格好をしたいのだろうかと、さっきまで雑誌をめくっていた。
で、2つだけ条件を絞り込めた。
・色は黒が好き。
・細身の格好がしたい。
ちょっとは前進できた。
また今度、古着屋にも行ってみようと思う。
まだまだやれる事がある。
そう思うと楽しくなってきた。
それでは、また。