hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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昨日の夜も眠れなかった。

目を閉じるとあの人の姿が浮かぶ。

くるしい。もだえる。のたうちまわる。

恋をしている人は皆こうなってしまうものなのだろうか?

 

午後1時。師匠はやってきた。

僕は今週やったこと――レシートをもらったこと、おでんを買ったこと、おしゃれの勉強をしたこと――を報告した。

「大丈夫か?多少の無理は必要だが、自分を追い詰めるなよ。ゆっくりやるのが近道ってこともあるんだぞ」

――いえ、何ていうか、毎日が充実してます。

「そうか。ならいいが、焦り過ぎは禁物だぞ」

真剣な眼差しで、諭されたので僕はたじろいだ。

 

それから師匠はクロを見ながらレポートを書いていた。

いつも真剣だ。手を抜かない。

この人はどんな覚悟をして、どんなものと戦っているのだろう?

気付くと僕は師匠を見つめてしまっていた。すると師匠は、

「じろじろ見るな。キモいわ。これだから女に免疫のない奴は」とつぶやいた。

ちょっとへこんでいると、抑えたトーンで師匠はいった。

「でも、うまくいくといいな、お前の恋。がんばれよ」

師匠はどことなくさみしげな顔をした。

この人は振られたばかりなんだと、思い出した。

何か自分にできないか?

僕が一生懸命できる事を探していると、師匠の携帯が鳴った。

出る。

「もしもし、あっ!アイハラ君!私も今電話しようと思ってたんだ~!うん!今バイト中で……」

……テンションが高い。

声も高い。

嬉しそう。

ボリュームも大きい。

だけど電話なんかしようとしてなかったよなあ……。

アイハラ君って誰だ?

もしかして新しい恋?

……ああ。そうだよな。

師匠も僕と同じく引きこもっていたくらいだから、恋に奥手なんじゃないかって勝手に思い込んでいた。

師匠は僕の前だと将軍様みたいだけど、やっぱりかわいいし、働いたり遊んだりしてるはずだもんな。

出会いだってたくさんあるんだろう。

……本当のところを知りたい。

でも、僕は怖くて真相を聞けなかった。

師匠はそのままのテンションで次のバイトへ向かっていった……。

 

姉が以前言っていた。女性は気持ちの切り替えが早い。男にはなかなかそれができない、と。

女より男のストーカーの事件が多い気がするのはそのせいなんじゃないか、って。

急がなければ、また彼氏ができてしまう。

いや、いいことか。師匠元気出てたし。

だけど、僕は焦りを感じた。

でも。明るく話してただけだし。

まだ失恋から立ち直ってなさそう、か……?

ああ、女の子の気持ちなんてわからん!

焦ったり、迷ったり、心配したり。

頭と心がばらばらになりそうだ。

それでは、また。