否定
外に出た。
雑貨屋に歩いて行った。
最近の僕は調子がいい。
道行く人にも挨拶ができるし、人がそんなに怖くなくなってきた。
だが、調子に乗っていた……。
クロと一緒に食べるポテトチップを提げて帰り道を歩いていた。
おばさん接近。
よく僕をにらんでくる人だった。
正直、怖い。苦手。
だが、今日こそ挨拶してみよう。頑張ってみよう、と思った。
緊張する。
近づく。
会話した。というか一方的にまくし立てられた。
「あんた気持ち悪いのよ」
「この辺歩かないで」
「人がいないとこ歩きなさいよ」
最初、意味がわからなかった。
はあ、すいません、と言って部屋に戻る。
クロが寄ってきて、すこしボーっとしてから、わかった。
ああ、全否定されたんだな、と。
怒ってもいいんだろうか?
それとも落胆すべきなのか?
今までの僕なら即死クラスの事件だったと思う。
「もう2度と外に出ない(涙)」みたいな。
しかし、不思議なほど僕は落ち着いている。
何であの人に「外に出るな」とか言われなきゃならないのか?
従う義務はない。
そして僕は外に出る事が楽しくて仕方がない。
というわけで。
これからも外に出よう。
あのおばさんは避けようと思うけれど。
でも、やっぱり傷ついた。ちょっと泣いた。
涙と人生はしょっぱい。
それでは、また。