ハンバーグの理由
僕はここのところ、夕食に必ずハンバーグを食べる生活を続けている。
今日で11日目だ。
何でこんなことを始めたか?
きっかけがある。
母が死にたいと言い出した。
本気だったように思えて、それで僕は、
泣いた。
わめいた。
30の大人にあるまじき行為かもしれないが、
泣いて感情をぶつけた。
あんたも僕の事を捨てるのか、と。
子供のころ父親がいなくなって、
母親にも捨てられることを恐れる子共だった僕は、未だに変わってなかった。
その感情を吐きだした。
今思い出すと、恥ずかしい。
だが、切羽詰まった状況で、隠していた本音が出てしまった。
正気(?)に戻った母は僕に謝ってきた。
泣きわめいて、文句言って、親に言う事聞かせるとかマジかっこ悪いな……。
だが、そうなった。
で、母は言う。
「じゃあ、私は死ぬまでに何をすればいいの?」
僕は答えた。
なら、毎日ハンバーグを食べさせてくれ、と。
それから何日かして、ちょっと遠くのスーパーまで行って、ラージサイズのひき肉を調達して、ハンバーグ化してもらい、冷凍保存。いまのハンバーグ生活に入った。
今日も母は生き残り、
僕はハンバーグを食べている。
それだけで、満たされています。
それでは、また。