茶髪の先生
今日は1カ月ぶりの通院日だった。
きのう同様バスで小説を読んでいたら、車酔い。
僕は反省と進歩をきちんとしようと思った。
バスを降りて歩く。
途中の竹林のあたりで、タケノコの皮が散乱していた。
ヒゲ面のタケノコ泥棒を想像してしまって、僕は笑ってしまった。
今となると、何が面白かったのか自分でもわからない。
しかし、吹き出してしまった。
事情を知らない人が見たら、僕は完全に変な人かもしれない。
病院へ着くと、入口のところで外来の看護師さんとはち合わせた。
とっさに「おはようございます」と挨拶。
笑顔が返ってくる。
その笑顔と、抜き打ちでも人と挨拶が出来た事が嬉しかった。
レベルが上がったかも。
ロビーで順番を待っていると、ずいぶん車イスの老人が増えた事に気づく。
「こんなとこにも高齢化の波が」と思いつつ、僕はそれどころではなかった。
今日から主治医が変わる事になっていたのだ。
面識のない人だったので、想像もつかない。
わかっていたのは名前と男性である事ぐらい。
けっこう不安だった。
医者にも当たり外れがある、と僕は考えている。
一生懸命やってくれる人には失礼かもしれないけど。
1時間くらい待ってから、診察室に呼ばれた。
茶髪にヒゲの若い先生だった。
年は僕と同じか若いぐらい。
よろしくおねがいしますとお互いに挨拶。
前の先生から聞いていた情報の確認をお互いに取った。
それから、
新しく変わった薬のルール(なんでも睡眠薬は1人当たり2種類までで、それ以上だと自己負担というルールになったらしい)を話したり、茶髪先生からみた僕の印象を聞いたりした。
「たぶん~」とか「~系の話?」とかノリが軽い。
でも、きちんとこちらの目を見てハッキリ話してくれる。
薬や治療方針の話も、わかりやすく丁寧。
大事なところは立ち止って確認をとってくれる。
なので、僕はこの先生は信頼できると思った。
優しそうな人だし。
薬は1カ月分出してもらえて、通院も1カ月後でいい事になった。
今度の先生ともうまくやっていけそうだ。
心配事が1つ消えた。
それでは、また。