なんとか
今日はなんだか朝から調子が悪かった。
漠然とした不安感が全身をつつみこんでいた。
真っ先に思いついたのは薬に頼る事だ。
だが、僕は1度立ち止まって考えた。
何でもかんでも病気のせいにして薬に頼って良いのか?と。
そもそも、発作が起きたわけじゃなく、不安がものすごく強いだけだったのだ(まあ、しんどかったけど)。
なので、自分なりに不安に立ち向かう事にしてみた。
何もしないと次々と嫌なことが浮かんでくる。
だから、積極的に動くことにした。
床の拭き掃除をしたり、
好きな小説を読んだり、
雨の中を散歩したりした。
僕は単純なので、調子が悪いとすぐに死を意識してしまう。
病気がひどい時は死ぬ事ばかり考えていた。
人の死に立ち会った事もある。
親戚のおばさんが亡くなった時だ。
その日、見舞いに行ったのだ。
おばさんはこん睡状態で、心電図みたいなのがベッドの横で単調なリズムを刻み続けていた。
お世話になった人だったので最後に何か話せればいいと思っていたのだけど、おばさんは目覚める事もなく心電図は止まってしまった。
苦しんではいなかったと思う。
人は結構あっさり向こう側へ行ってしまうものなのだな、と思ったのを覚えている。
それで、そんな事を思い出しながらも僕はじたばたし続けた。
こんな落ち着かない状態で、生活するのはしんどすぎる、と。
どうしよう、どうしよう、って部屋の中をぐるぐる歩き続けた。
しかし、発作には至らない。
その意味では、病気は確実に快方に向かっていると確信した。
医者の人たちは「一生治らない」と断言していたけれど。
結局、僕は今日の状態を受けいれることにした。
発作に襲われているわけじゃないし、多少生きづらくても生活できるレベルじゃん、と考えた。
この世には辛い思いをしている人はたくさんいる。
それでも、みんな一生懸命生きている。
それは、病気という枠組みとは関係ないと思えた。
なので僕は、多少の不安も仕方なし、とその状態を引き受ける事にした。
発作が起こったら、薬を飲むという選択肢も与えられているし。
病的な不安と、生きる事そのものへの不安。
いまの僕には自分の中にあるものをうまく区別できない。
だけど、
頑張っても頑張らなくても生きて行こう。
そう思ったら、次第に状態が良くなっていった。
時間はかかったけど、いつも通りの状態になった。
ちょっとは強くなれたかも。
それでは、また。