中華屋さんとウサギ

朝、米が無くなった事に気づいた。

僕はいつも米は農協の直売所で手に入れている。

しかし、今日は体調が悪かった。

買いに行くか迷う。

だが、今日食べる分もないし、外に出たい気持ちもあったので買いに行く事にした。

半袖１枚だとちょっと寒い、と思いながら歩く。

金網に囲まれた変電所の前を通りかかると、

近所の人に遭遇。

３人。

なんか騒いでいた。

とりあえず挨拶して事情を聞こうと思ったが、

向こうから声をかけてきた。

「ウサギ、飼ってない？」

飼ってないです。

金網の中に目を向けると、茶色いウサギがいた。

話によると、朝からそこにいたらしい。

で、野生のはずがないからペットだろう、と。

僕は答えを知っていた。

その変電所のすぐ裏にある中華屋で飼われているウサギだと。

僕はその中華屋にはよく行く。

食べに行くのではなく、安い自販機があるのだ。

全品１００円。

冬の間はよく「おしるこ」を買いに行く。

その時に、中華屋のガレージでウサギを見かけたのだ。

色も一緒だし近所なので、このウサギはきっとあそこのウサギだろうと思った。

近所の人は早速中華屋の人を呼んで来て話をしていた。

やっぱり中華屋のウサギだった。

それで、その中華屋はいろんなものを取り扱っているというか、飼っている。

１番驚いたのは、かごの中にニワトリが２０羽くらいいた事だ。

たぶん、あれはから揚げになるニワトリだと思う。

他にもカブトムシとか、メダカなんかも見かける事がある。

壊れた人形と目があった時は、びっくりした。

とにかくいろんなものが転がっていて、カオスだ。

でも、きらいじゃない。

中華料理にウサギのメニューあっただろうか？

もしかしたら、

今日の脱出はあのウサギにとっては、生きのびる最後のチャンスだったのかもしれない。

ウサギさん、ごめん。

そんな事を考えながら、米を買いに行った。

それでは、また。