季節と変化
最近、暑い。
日差しもきつくて、汗が出る。
川や道端にカメの姿が見える。
草もボーボーだ。
蜂も部屋の中に飛んでくるし、つばめが窓から入ってくる事もある。
風呂掃除をさぼると、すぐにカビが生える。
先日、そうめんを食べた。
つまり、夏が来た。
人生には選べるものと選べないものがある。
季節は選べないものの1つだと思う。
昔は、季節の変化が嫌だった。
どの季節に対してもそうだけど、慣れてきて「もうこれでやっていける」と思ったぐらいのタイミングで、季節が変わる。
容赦なく変わる。
理不尽なくらい。
大人たちは「季節の風物詩」とか言って楽しんでいた。
だが、季節の変化は辛かった。
僕にとって変化とは別れであり、別れとは痛みだったから。
時が移ろい花が枯れていくのは悲しいし、祭りは楽しいけど終わりは寂しい。
雪が降っていると心細くなったし、春には年度が変わり、文字通り別れが訪れる。
無くなってしまうんだったら、最初から何もしない方がいい。
ずっとそんなふうに後ろ向きにしか考えられなかった。
大人になってから。
変化に耐えられるようになった。
何と言うか、信頼できるようになった。
季節は誰にでも平等だと気づけた。
失うだけでなく、新しいものだって生まれてくる。
僕にとっては甥っ子たちの誕生がそうだった。
彼らの成長と変化を見ているのは、幸福だった。
さらに言えば、公園の切り取られた木の枝もまた生えるし、花も咲く。ミツバチだってまた働きだす。
全部つながって巡っている。
心をゆるめて、そういうものを見るようになった。
そういった変化を経験する事で、僕はちょっと強くなった。
もちろん、なくなったものは帰ってこない。
祖父母とか、死んでしまったペットとか、終わってしまった「何か」も。
それでも、大事なのは嘆いて心を閉ざす事じゃなく、受けいれる事だと思う。
最後に離れるのなら、一緒にいる今を充実させよう。そう思えるようになった。
何もかも巡って、全部変わる。
だから、毎日は輝いている。
僕はそう思って生きている。
それでは、また。