人間が
たまには、歩こうと思った。
運動不足だし、外にも出たい。
なので、家から少し離れたスーパーまで歩いていった。
日差しは強く、日傘をさしても照り返しがきつい。
前髪が額に張り付くぐらい、汗が噴き出た。
20分くらい歩いて、店に着く。
汗だくだったので、店の冷房をちょっと寒いと感じた。
ふりかけを探していると、かばんが棚にぶつかって、干しシイタケが落下。
近くにいた、おばちゃん店員さんが拾ってくれた。
そこから、「すみません」「いいのよ」「ありがとうございます」「最近暑いわね」「そうですね」とかちょっと話した。
店内の100円均一にも寄った。
キッチンタイマーと、歯磨き粉、ごみ箱と虫よけ消臭剤も買った。
全部で432円。
レジで丁度払ったつもりだったけど、僕は1円出し忘れた。
店員さんとちょっと言葉を交換する。
「すみません、暑くておかしくなってるかも(笑)」
「熱中症には気をつけてください(笑)はい、丁度いただきます」とか。
何でもない会話。
僕は一通りの買い物を終えて、店の自販機コーナーで休んだ。
桃のグミをかじりながら考えてみた。
何でこんなに楽しいのか?と。
答えは簡単に出た。
人と話したからだ。
ここのところ、家族とはちょくちょく言葉を交わしてはいるものの、全くの他人と直接言葉を交わすのは、もう何日もなかった。
なので、新鮮だった。
ああ、人に飢えてたなあ、と思った。
人は、いや、少なくとも僕は独りで生きられない。
どうしても、求めてしまう。
人間が、すきだ。
心の空洞を持てあます日もあるけれど。
それでは、また。