埋め合わせ
この間、甥っ子(甥っ子兄弟の弟の方)とケンカした。
ケンカというか、あいつが挑発してきて僕がそれに乗ってしまった。
カードゲームをしていた時だ。
あいつは最近、イライラしている。
部活に塾に忙しい。ちょっと前には期末テストもあった。
家に帰っても友だちとのラインが面倒だとも言っていた。
両親に対しても挑戦的だという。
姉も手を焼いているようだ。
それで、この間カードゲーム中に挑発されて、僕はイラっとした。
ストレートに言った。
お前ケンカ売ってんのか?と。
するとあいつはビクッとして、うつむいた。
普段僕は怒る事はないので、驚いたんだと思う。
沈黙した。
部屋が静かになって、扇風機のブーンという音が大きくなった気がした。
僕はやってしまった、と思った。
思ったのでそのままごまかした。「……ターン終了だ」と。
そのままカードゲームを消化したのだけど、何だかぎこちないというか、きまずい。
互いに暗かった。
母親に注意された。
子供相手にムキになってどうする、大人げないよ、と。
僕はそれは違う、と反論した。
大人だろうが、子供だろうが人間同士だったら対等だと思う。
だから、「子供だから」とか言って上から目線で「やさしく」するのは、かえって失礼にあたると思う。
僕自身、子供のとき大人にそういう扱いを受けて傷ついた事がある。
そんな事を伝えたが、母は納得してないみたいだった。
それでも、甥っ子が小さくなってショボーンとしてたのを思い出すと、やっぱり優しさが足りなかったと思う。
あいつだってケンカを売ってるわけじゃなくて、ただイライラしていて、それを抑えられなかっただけだと思うから。
悪いと思った。
思ったので、埋め合わせをしたいと思った。
前から甥っ子はカードで遊ぶ時、「同じデッキ(カードの束)ばかりで飽きた」と言っていた。
だけど、僕はべつに良いじゃん、と言って取り合わなかった。
その事を思い出したので、僕はちょっと夜更かししてデッキを組み直した。
次の日に。
「新しいデッキ作ったぜ!勝負だ!」と若干テンションを盛って甥っ子に勝負を挑んだ。
そしたら、あいつはニヤって笑った。
喜んだ(ように見えた)。
僕はそれが何だか嬉しかった。
それから、前にも増してカードゲームをやっている。
1日30分~1時間くらい。
思い出が増えて行く。
それでは、また。