カレーパンとタバコとツバメと巣とロスト
今日は精神科の通院日だった。
僕はいつも売店で、カレーパンを買って食べている。
今日も楽しみにしていた。が、売り切れだった。
ショボーンとして、診察。
先生にどうしたの、元気ないね?と聞かれた。
「カレーパン」と答える事も出来ず、僕は「ちょっと色々あって……」とごまかした。
診察を終えて、薬を待っている時に知り合いにあった。
中年の女性で、メガネをかけていて、小柄な人だ。
彼女はいつもタバコを吸っていて、今日も吸っていた。
タバコを吸いながら、「禁煙してるのよ」という。
嘘を言ってはいけない、と僕はツッコんだ。
なんでも、彼女は禁煙外来へ行ったそうだ。
そこで薬を処方してもらった。禁煙用のやつ。で、それを飲んだ。
すると、幻聴や幻覚に襲われた。
結果、ロクに眠る事ができなくなり、禁煙を断念したという。
でも、知り合いのその女性は自分なりにタバコの本数を抑えているらしい。
薬にも飲み合わせや、病気との相性、その他もろもろ色んな要素が関わっているみたいだ。
薬とはちょっと違うかもしれないが、僕も1度歯医者で親知らずを抜いた時、
麻酔が切れたあと、1時間くらい激しい頭痛に襲われた事がある。
歯とか口じゃなく、頭が痛んだ。
すごい痛かった。
文字通り、のたうちまわった。
その時は結局、自然に治まったけど、薬とかはやっぱり効き目があるだけあって、リスクもそれなりにあると思う。
そんな話をしている僕達の前に、ツバメが何羽か飛び交っていた。
ああ、確か柱の所に巣があったな……と思ったら、ない。
撤去されたらしい。
見ると、柱の塗料も塗りなおされていたみたいだったし、塗り直す時に撤去されたのだと思う。
ツバメは柱に寄っていくものの、すぐに離れたり、くっついたりを繰り返していた。
僕らは失った……。
僕はカレーパン。
知り合いの女性は、禁煙の薬と安眠。
ツバメは巣。
そう思うとつらいのは自分だけじゃねえや、って僕は強がってみた。
明らかに僕ひとりが楽してるけど。
セミは鳴きまくっていたし、風はビュービュー吹いてたし、売店で買った栄養ドリンクは美味かった。
いい午後だった。
それでは、また。